イラン料理;プラム
今回は、プラムについてお話し致しましょう。この果物は、イラン各地で栽培されており、毎年収穫されたものの多くが、乾燥プラムとして国内外の市場に出荷されます。
イランでも、そのまま生で食べられるほか、料理やお菓子に、乾燥プラムが使われます。これまで「イランの食文化」の中でも、「ほうれん草とプラムの煮込み料理」や「ニンジンとプラムの煮込み料理」「クーフテ」と呼ばれる肉団子のレシピの中で、乾燥プラムを使ってきました。
プラムの木は、高さおよそ5メートル、あるいはそれ以上になり、通常、とげを持たず、葉はぎざぎざの楕円形となっています。この木からは、接ぎ木などによって、さまざまな形や色の果実をつける多くの品種が手に入ります。その最も一般的なものが、黄色や紫、黒い色のプラムで、濃い色の果実をつける品種がより好まれます。プラムは水分を多く含み、多くがクルミの実くらいの大きさで、楕円形をしています。
体への効果として、プラムは、滋養強壮、消化器官の調整、便秘の解消、ほてりの緩和に効果があり、喉を潤します。こうした効果を利用するためには、生のまま食べるか、あるいは乾燥プラムや缶詰のプラムを食べるとよいでしょう。また、プラムは、リューマチ、痛風、動脈硬化によいとされています。プラムには、カルシウム、鉄、ビタミンA,B1,B2,Cが含まれています。さらに、新鮮なプラムは、さらなる栄養素が期待できます。しかしながら、プラムを生で食べる場合、体の弱い人や高齢者は、消化不良をおこすことがあるため、このような人たちは、プラムを、煮るなど火を通して食べることをお勧めします。
プラムには、吐き気を抑える効果もあります。吐き気やめまいを起こしている人は、一日に数回プラムを食べるとよいでしょう。さらに、プラムには解熱作用もあります。便秘や痔の自然治療には、生の、あるいは乾燥させた各種のプラムを調理して食べることが勧められています。プラムジュースは、お腹の中の寄生虫退治にも効果的です。
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研究者は、プラムを料理の殺菌に使うことが出来ると考えています。乾燥プラムには、抗菌作用があり、肉類の細菌の発生を防ぎます。細かく切った肉に、プラムやそのエキスを加えると、細菌の発生率を低く抑えることが出来ます。香辛料もまた同様の役割を果たしますが、プラムのエキスは風味が強くないので、料理本来の味をそこなうことがありません。プラムエキスを、料理に3%加えると、細菌の発生を90%以上を防止することができます。さらに、プラムは、肉類の水分を閉じこめる効果があるため、肉の質を向上させます。
乾燥プラムは、マグネシウム、ナトリウム、リン、カリウムを含み、食物繊維を体に十分補給します。また、乾燥プラムは、肝臓の健康維持に効果的であり、消化器官の有毒物質を取り除きます。さらに、腸の炎症や殺菌にも非常に重要な働きをします。
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イランでは、乾燥プラムを料理に使うほか、プラムの果肉を薄くのばした板状のお菓子が食べられており、「ラヴァーシャク」と呼ばれています。ラヴァーシャクは、海外にも輸出されています。ラヴァーシャクは、果肉を濃縮させて、乾燥させたものです。
イランの一部地域では、このラヴァーシャクを、伝統的な方法で作っています。プラムなど、果実の果肉を煮詰めて、それを油を塗った大きなお盆の中に、0.5ミリの厚さに注ぎ、太陽にあてて乾かします。数日経てば、ラヴァーシャクの出来上がりです。これをビニールに包み、適当な大きさに切り分けます。ラヴァーシャクは、お菓子として食べるだけなく、料理の味付けに使ったりもします。
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