ペルシャ語ことわざ散歩(61)「アリーとその池だけが残った」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語のことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは「アリーとその池だけが残った」です。
ペルシャ語での読み方は、Ali maand va houze-ashとなります。
この表現は、人が皆去ってしまって、自分のそばにはもはや誰一人残っていない様子を表現しています。
ここに出てくるアリーとは、シーア派初代イマーム・アリーを指し、池というのは天国を流れる川もしくは池を意味しており、またその所有者はイマームアリーだとされています。このことわざは、こうしたシーア派の伝承に関する以下のような言い伝えが元になっていると言われています。
ある日のこと、イスラムの聖職者の1人が説教壇に立って、天国にあるとされるこの池がイマーム・アリーのものであること、また最後の審判の日にこの池の水の恩恵にあずかれる人はどんな人であるかについて語り、親から勘当されたり、イスラムで禁じられているものを口にしたり、人から高い利息を取ったりした人は、この池に近づくこともできないとし、その他にも色々な条件を列挙していました。すると、この説教を聴いていた群衆の1人が立ち上がって「この話が本当なら、最後の審判の日にはイマーム・アリーとその池だけが残りますね。そのように全く罪を犯していない人などはいないのですから」と発言したということです。
確かに、生まれてから全く罪や過ちを犯さない人などはいないと思われ、そのような全くの無謬の人だけがこの池に近づけるというのであれは、持ち主のイマームアリー以外には誰も残らないということになります。
ペルシャ語のことわざや言い回しには、このようにイスラムに根ざしたものやイスラムの伝承などを由来とするものも沢山使われています。これからも、このコーナーにてイスラムにまつわる表現も随時ご紹介してまいります。どうぞ、お楽しみに。
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