米国に対するイランの不服従:歴史的記憶から抵抗ドクトリンへ
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アラーグチー・イラン外相がトランプ米大統領に返答
アラーグチー・イラン外相が、イランの不服従的な姿勢に対するトランプ米国大統領の疑問に応答し、「我々は降伏しない。それは、我々がイラン人であるからだ」としました。
セイイェド・アッバース・アラーグチー外相は、ドナルド・トランプ米大統領がイランの不服従的な姿勢に疑問を呈したことに対し、「X」内の自身のアカウントに「なぜ我々が降伏しないのかを知りたいのか?それは我々が『イラン人』だからである」と投稿しています。
スティーブン・ウィトコフ米大統領特使・首席交渉官は米フォックスニュースに対し「トランプ大統領が私にこの質問をしたが、自分は『失望』という言葉は使いたくない。なぜなら、トランプ氏は自分には選択肢がたくさんあることを知っているが、なぜ彼ら(イラン国民)が降伏しないのかに好奇心があり、それを知りたいからだ」と語りました。
また「なぜ彼ら(イラン人)は、あそこであのような海軍力によりこれほどの圧力をかけられながら、我々のもとに来て武器は必要ないと自白しなかったのか?米国は「自ら遂行する用意のある行動」のために地域に軍隊を移動させている。もっとも、これは『困難な』移動である」と述べています。
「イランの対米不服従」は、国家レベル、地域レベル、国際レベルという3つの理論的レベルに基づいて説明できます。この枠組みにおいて、イランの立場は圧力や脅迫に対する単なる短期的反応ではなく、歴史的、文化的、地政学的および、価値観的論理に基づくものだと言えます。イランは歴史を通じて幾度となく外国勢力の侵略を受けながらも、一度も敗北したことのない国です。古代帝国との闘争から新植民地時代、そして現代に至るまで、イランの国民的精神は「支配・覇権への抵抗」という概念によって形作られてきました。
この経歴により、「抵抗」は今やイランの政治・社会文化の一部となっており、イラン国民にとって名誉と尊厳の象徴とされています。こうした国民文化と内部的結束力のもと、外部からの圧力、特に国民の集合的記憶がクーデター、制裁、そして脅迫政策として認識している勢力からの圧力に屈することは、イランの歴史的アイデンティティの侵害とみなされるのです。また注目すべき点として、国家間の関係が民族的、宗教的、そして地政学的な対立によって不安定になりがちな西アジア地域において、イランは常に大国に服従する必要のない構造的勢力であったことも指摘できます。
ペルシャ湾とその湾口に当たるホルモズ海峡を掌握していることに始まり、中央アジア・コーカサス地域に近いことに至るまで地政学的地理的条件により、イランはエネルギー、貿易、そして安全保障上の紛争の中心地となっています。
イランの外交政策における統一的なアプローチ、内的独立性を強調していること、そして外国の進出への反対は、イランと他国との地域関係において影響力ある様相として認識されており、この傾向は、地域諸国が独立を求め、地域協力を重視する上での模範とみなされています。
イランはまたパレスチナ、イエメン、レバノンを含む地域の暴虐下に置かれた被抑圧国の防衛においても先駆的な存在であり、地域におけるアメリカ・シオニスト軸の行き過ぎた行為に対抗する上で効果的な役割を果たしてきました。
国際社会において、イランは不当に押し付けられた世界秩序に抵抗する国であることを自認しています。1979年のイスラム革命以来、イランは「東西(東側共産圏および西側)のいずれでもない」という原則を外交政策の基盤としてきました。これは、いかなる勢力もイラン国民に自らの意志を押し付ける権利を持たないことを意味します。近年、イランは防衛力、科学技術力への多額の投資により、効果的な抑止力を構築してきました。こうした能力を示す指標の1つとして国産ミサイル、戦闘用無人機、核技術、サイバー能力の開発が挙げられます。
イランの不服従的な姿勢は、歴史的アイデンティティ、文化的信条、地政学的立地、防衛能力、そして政治的独立の原則が巧みに組み合わさった産物だと言えます。
外国からの圧力は決してこの意思を弱めることはなく、逆に多くの場合、強化してきた形となっています。イランの視点からすれば、アメリカが押し付ける要求を受け入れることは、自らの独立性、尊厳、そして戦略的バランスの喪失を意味します。そしてこのことは、イラン政府内のいかなる潮流も(政治的立場を問わず)受け入れないだろうと考えられます。

