イランの観光の魅力
イラン南東部ケルマーン州バムの城砦
バムの城砦は、2500年以上の歴史を有しており、イラン南東部ケルマーン州バム市近郊にあります。
この城砦は、ユネスコ世界遺産にも「バムとその文化的景観」として登録されており、シルクロードの沿線上に位置しています。また、紀元前5世紀に建設され、1850年まで実際に使用されていました。
バムの城砦は、世界最大級の日干し煉瓦による建造物とされています。
この城砦は、外壁や塔、城塁、複数の門、モスク、バザール、宗教施設、隊商宿、学校、公共浴場、古式体操の道場、貴族階級や庶民の住居を含めた居住区域、兵営を含めた為政者の場所、馬屋、水車、司令官の住居、支配者の住居、季節用住居、監視塔などから構成されています。
バムは、ケルマーン州ケルマーン市の南西193キロの砂漠に位置しており、海抜は1050メートルに及び、総面積は1万948キロ平方メートルあります。最古の文明のシンボルは、市内から15キロ離れた丘で発見されています。
バム市の北東の岩肌の多い斜面には、強固な城砦が存在しており、人々はこれを要塞と呼んでいました。実際、この建造物はバムの旧市街でした。この要塞の周囲は、深い堀に囲まれており、要塞を敵の攻撃から守っていたのです。
バムの要塞とバム市は、軍事用、そして歴史的に極めて重要な要塞とされています。要塞の敷地内には、岩の上に建てられた5階建ての泥と日干し煉瓦でできた、為政者用の建物があります。また、アーチや柱、パン屋、製油所、バザール内の日干し煉瓦でできた部分は当時の繁栄を思い起こさせます。バムの要塞は、イランの建築様式の完全な模範といえます。
この要塞にある建物は、日干し煉瓦や泥でできており、日干し煉瓦でできた建造物としては世界最大級とされ、アルサケス朝パルティア時代の最も美しい建物に数えられます。
バムの要塞は、イランの伝説の王ゴシュタースプの息子バフマンのものとされており、およそ200年前まではここに人が住んでいました。歴史を通して、この要塞は何度も攻撃され、修復されています。
一部の家にはプライベートの浴場が見られ、その脇には実際に生活用の居室として使われていたスペースや家畜用のスペースがあります。一部の住居は、柱が2本あり、2階建ての構造となっています。
バムの要塞内に住む人々は、農業や絨毯の生産により、生計を立てていました。2番目の門からは、為政者の建物を見ることが出来ます。
南東部では、家畜小屋のそばに貯水池や井戸の後が存在しており、これらはこの要塞内に住む人々の飲料水を確保していたと思われます。
この城砦には、入り口は1つしかなく、これはサーサーン朝時代のアーチと比較することができます。
この城砦は、歴史的な建造物や住居が存在すること、建造物の立地状況や、その接続方法などの理由により、都市建設や建築学の点で大きな価値のある遺跡となっています。
イラン第一の都市遺跡とされるバムの城砦は、今から13年前にバム市を襲った震災により、全体の80%が破壊されました。