一日一冊、本の紹介(59)
(last modified Sat, 18 Feb 2017 09:20:03 GMT )
2月 18, 2017 18:20 Asia/Tokyo
  • 一日一冊、本の紹介(59)

環境破壊の大部分は、私たちの、自然や生物に対する捉え方や理解の仕方によるものです。

実際、私たちの考え方の支えや基盤は、特別な思想体系であり、自然とその中における人間の地位への見方や世界観を作るものです。最近、モスタファー・モハッゲグダーマードが、「自然環境の神学」という本を執筆しました。彼によれば、世界の環境問題は、生物学的な原因というよりも、人間が、神に支配されているとは考えず、神の無限の性質を信じないからであるとされています。作者は、人間が元来の生活から離れ、自然環境から遠ざかったことが、現在の世界の環境破壊の原因だとしています。

「自然環境の神学」という本は、自然からの神聖の排除、環境問題と世界観の関係、啓示宗教と環境、環境に関するコーランの見解、人間の行動と自然災害の関係など、11の部分で構成されています。この本には次のようにあります。「預言者は、大地は私にとってモスクであると語っている。つまり、大地は私がひれ伏すことのできる場所だということだ」 イスラムでは、土、水、森林は神聖なものとされています。これに基づき、木は神の具現であり、一本の木さえ、枯らすことはイスラムでは認められません。

「自然環境の神学」は、コーランのおよそ200節や伝承を引用し、コーランやイスラムの観点から環境問題を分析しており、環境、地球温暖化、動植物の絶滅といった現在の問題における、イスラムの観点からの新たな研究のきっかけとなりうるものです。

作者は、人間は神の指示に従うことで、健全で平和的な環境を作ることが出来るという点を強調しています。大地は全能の神のものだ、という点に注目するだけで、人間は清らかに生きることができるのです。