日本のエネルギー安全保障に暗雲、米LNG基地火災と「サハリン2 」破綻で
(last modified Thu, 07 Jul 2022 09:46:02 GMT )
7月 07, 2022 18:46 Asia/Tokyo
  • ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2 」
    ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2 」

米テキサス州にあるLNG液化天然ガス基地「フリーポート」の火災と操業停止により、日本のエネルギー安全保障に暗雲が立ち込めています。

読売新聞など、日本の複数のメディアによりますと、その原因として、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2 」からのLNG輸入が停止した場合に備えて、日本のエネルギー企業は代替手段として「フリーポート」からの供給を考えていたことが指摘されています。

先月8日、米テキサス州のLNG基地「フリーポート」で火災と爆発が発生し、操業が停止しており、部分的な操業開始は10月上旬になるとみられています。

読売新聞によりますと、日本が調達するLNGの約9%がロシア産で、そのほとんどを「サハリン2 」が占めていることから、日本政府は天然ガスへの制裁は行わず、「サハリン2」の権益を維持する方針を示してきました。

しかしプーチン・ロシア大統領は、ウクライナをめぐる情勢で対露制裁を発動した日本に対し、その対抗措置として先月30日、サハリン2の権益などを引き継ぐ新たな事業体を設立する大統領令に署名しました。

ロイター通信によりますと、現在既に猛暑で電力不足に直面する日本が、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡るロシアの新たな方針に揺さぶられている格好です。

この事業の権益を維持するには改めてロシアに申請する必要があり、ウクライナ情勢を巡って西側諸国が結束する中、冬に一段と電力切迫する恐れがある日本にとっては踏み絵となりかねない事態となっています。

今年の冬は一段と電力需給が厳しくなる見込みで、日本の経済産業省幹部の間からは「来年まで電力需給は綱渡り。冬はサハリン頼みだ」という声も聞かれます。

輸入費の増加は、すでに2021年より1〜3割高くなっている日本の電気・ガス料金のさらなる値上げにつながると予想されます。

日本はウクライナ情勢をめぐり対ロシア制裁でG7先進7カ国を足並みを揃えたい一方で、エネルギー逼迫により「ロシア寄りと見られるリスク」を覚悟するのか、政府首脳は苦渋の選択を迫られています。

 


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