気候変動によるわさび生産減少、各界の関係者が強く懸念
(last modified Fri, 15 Jul 2022 05:30:00 GMT )
7月 15, 2022 14:30 Asia/Tokyo

日本で、同国独特の調味料の1つ・わさびに異変が起こっています。

主に飲食店を経営する企業・グルメ杵屋CS推進部長で、信州そば処・そじ坊を運営する大西憲臣氏(52)はまず、「昔は、すべての冷たいおそばには生わさびをつけていたのですが、それが全てにはつけられなくなるということです。つまり、数が足りなくなることによって、メニュー内容を変更せざるを得なくならなくなることもございます」と語りました。

また、「やはり我々としては、ずっと元のようにこれからも営業はしたいのですが、この温暖化現象をはじめ、わさびの安定供給ができない状況がこれからも続くのであれば、やはり今の体制以外でも、できるだけ生わさびをゼロにはしない、という状態に変えていくことが現状です」と加えています。

さて、ところ変わって、ある地方都市のわさび田の様子です。わさびは山葵と書き、植物の一種で、清水のある場所にしか成育しません。

あるわさび農家の作業従事者の男性(70)は「ここのところ、温暖化の影響で台風の勢いが全然以前とは違っています。強くなっていますし、風も強いですし、また雨台風で雨も相当量降っています。わさび田が川のようになっているんです。こんな大きい島で、どんどん転がされている。水の強さを感じますね。まあ10月ですから、わさび自体そろそろ収穫という時期でしたので、相当大きいわさびが皆流されたり、津波に遭ったりしてました。1回来たからもう来ない、ということはないですし。また来るのでは、という心配もあります」と気候変動の影響を語りました。

そして、わさび栽培にかかわるその他の問題ついて、「動物被害の獣害もあります。そういうことによって益々人が、生産者が減っていくし。ましてわさびを作る場所というのは田舎ですから、高齢でどんどん人が辞めていってしまうよう、人が少なくなるという心配もあります」と厳しい現状を語りました。

今度は、ある握りずし店の様子です。プロのすし職人が慣れた手つきですばやく、生のすしねたと米飯ですしを握っていきます。もちろん、ご存知のとおり、すしにはわさびがつき物です。

岐阜大学応用生物科学部 植物遺伝育種学研究室の山根 京子准教授は「私は、地球温暖化も1つの要因だと考えています。水温が下がり酸素量が減少して、生育に影響が出ます。そして、積雪量の減少、さらには間接的な影響として獣害もあります。獣害により生産者さんもやる気を失ってしまうのです。あとは、災害、特に水害の多発が打撃を与えていると思います」とコメントしています。

日本の食文化に欠かせないわさびが、地球温暖化の影響で生産減少の打撃を受けています。この厳しい現実にどう対応していくのか、関係者は大きな気候変動という大きな試練に直面しています。

 


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