ヌスラ戦線、日本人の人質の映像を公開
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日本人の人質、安田純平さん
アルカイダ系のテロ組織ヌスラ戦線が、日本人の人質、安田純平さんと見られる男性の映像を公開しました。
ロイター通信によりますと、この映像は、フェイスブック上で公開され、男性は「ヤスダ・ジュンペイ」だと名乗り、「今日3月16日は私の誕生日だ」と語っています。
白い壁を背に、机に座ったこの男性は、家族を抱きしめて話をしたいが、もうできないと語っています。
黒い服を着てマフラーのようなものを首にまいたこの男性は、時折、感情を高ぶらせながらも落ち着いた様子で、1分ほど英語で話しています。
日本のメディアは、安田さんは、昨年6月、トルコからシリアに入った後、ヌスラ戦線の支配下にある地域で武装グループに拉致されたと伝えていました。
NHKは声明の中で、「この映像を公開した人物と電話で話した」とし、その人物は、この映像を安田さんの解放に向けて努力している人間から受け取ったと主張したということです。
日本の菅官房長官は、「映像に映っている男性は、安田さんだと思われる」としました。
菅官房長官は、記者会見で、さらなる詳細については言及を避けながら、「邦人の安全確保は政府の最大の義務であり、さまざまな情報を駆使して全力で対応に努めている」と述べました。
さらに、「政府は身代金の要求は承知していない」と語りました。
昨年には、日本人2人がテロ組織ISISによって殺害されました。
彼らの野蛮な処刑は日本の人々に衝撃を与えましたが、政府は、彼らの解放のためにテロリストと交渉を行わないとしていました。
安倍首相は、人質問題への対応を理由に大きな批判を浴びました。
ロイター通信は、安田さんの家族がこの映像を受け取ったか否かは不明だとしましたが、共同通信は、安田さんの母親が、無事に家に帰ってきてほしいと涙ながらに訴えたとしています。
この映像からは、誰に拘束されているのか、彼らの要求は何か、などの安田さんに関するこれ以上の情報は与えられていません。
安田さんは、妻、父、母、兄弟を抱きしめ、話をしたいと言った後、「私の国に対して言わなければならない。痛みで苦しみながら暗い部屋に座っている間、誰も反応しない。誰も気にとめていない」と話しています。
昨年12月には、国境なき記者団が、安田さんはシリアで武装勢力に拘束されたとする声明を出していました。
日本政府は、当時は安田さんに関する情報収集に努めていたとしています。
日本政府は、安田さんの解放のための交渉に応じなかったため、多くの批判を浴びています。