日銀総裁が批判を甘受、「大規模緩和は継続」 “値上げ許容度”発言で
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日銀の黒田東彦総裁
日銀の黒田東彦総裁が、日本経済は回復途上にあるとした上で、今の大規模な金融緩和を粘り強く続ける姿勢を改めて示しました。
日本の報道各社によりますと、黒田総裁は7日火曜の参議院の財政金融委員会で、日本経済は新型コロナウイルスによる落ち込みからの回復途上にあり、資源価格の上昇による影響も受けていると指摘しました。
そのうえで「金融政策を拙速に縮小すると設備投資などの国内需要に一段と下押し圧力がかかる。経済活動をしっかりとサポートすることで企業収益や雇用、賃金が改善する中で、物価が緩やかに上昇する好循環の形成を目指したい」と述べ、今の大規模な金融緩和を粘り強く続ける姿勢を改めて示しています。
今回の財政金融委員会では、黒田日銀総裁の「値上げ許容度」発言について野党側から「誤ったメッセージだ」と反発の声が上がっており、これに対して黒田総裁は「強調しすぎたかもしれない。批判を甘受したい」などと釈明を試みました。
一方、日本国民からは黒田氏は国民生活の実態に無関心だとの怒りの声があがり、ツイッターでは「#値上げ受け入れてません」のハッシュタグがすでにトレンド入りしています。
黒田総裁の「値上げ許容度」発言の報じられたニュースに寄せられたコメントには、現在、日本が誘導していたのは物価が上がり、企業収益も上がり、国民の収入も上がるインフレだったが、実際に進行しているのは実質所得が増えないまま、物の値段が上がる「悪いインフレ」だという認識や、「値上げや増税が許容できる状態に国民を置くことが値上げや増税のための最低限の前提だということを全く慮外に置いている」と政府の政策への批判が書き込まれています。
これに先立ち、黒田日銀総裁は6日、東京都内で行った講演で、「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは、重要な変化と捉えることができる」との見解を示していました。