アメリカと国内テロの問題
アメリカの大統領がオーランドのナイトクラブへのテロ攻撃と大テロ計画との関連を否定しました。
アボルファトフ解説員
オバマ大統領はアメリカの国家安全保障関係者との会議の後、記者団に対し、「この事件の容疑者オマル・マティーンは、インターネットで過激派のサイトの影響を受けたようであり、この事件はアメリカ国内の過激派の存在を示すものだ」とし、「テロ組織を殲滅しなければならない」と語りました。
フロリダ州オーランドでの12日日曜の銃乱射事件は、2001年の同時多発テロ後アメリカで最多の死者を出した事件とされ、その中で50人が死亡、53人が負傷しました。この事件を受け、再度、過激派グループの活動から生じる危険性やテロの問題が人々の注目を集めました。こうした中、同性愛者の集うナイトクラブの襲撃事件が、国外のテロなのか、国内のテロなのかはっきりしていません。
この20年のメディアの大規模なプロパガンダに反して、アメリカとこの国の市民に対する治安の脅威は、必ずしも外国からのものではないようです。とはいえ、アルカイダ、ISIS ,アルシャバブ、またボコハラムといったテログループは、反米のスローガンを掲げており、一部は同国に対する攻撃を仕掛けています。こうした中、アメリカ国内でも、過激派やテログループが多く見られています。これらのグループは、様々な目的を追求しています。一部はアメリカの政府機関を腐敗しているとし、これらの機関は市民の社会的な自由を制限しようとしているとしています。また別のグループは、人種の分離を求めています。また同時に一部の宗教的なグループも、自らの目的を推し進めるために、過激な行動に向かっており、暴力を行使することもいといません。こうした中、一部の過激派は、アメリカ人というアイデンティティがグローバル化によって消滅し、国連憲章がアメリカの憲法に優ることに怒っています。こうした中、一部のグループが同性愛や堕胎といった問題に対して暴力的な行動をとる問題が幾度となく目撃されています。
いずれにせよ、アメリカ国内で過激派や暴力主義の思想の形成が非常に強くなっているのは間違いありません。アメリカの大統領の言葉を借りれば、アメリカという国では、銃器を手にすることが書物を手にするよりも簡単なのです。言い換えれば、現状に不満を抱いている、あるいは、平和的に自らの要求を実現することのできない人々は、武器を購入し、多くの人の命を奪っているのです。こうした事件もまたアメリカでたびたび起こっています。オクラホマシティの連邦政府ビルの爆破事件やチャールストンの黒人教会への銃撃は、アメリカでのこうしたテロ事件と見なされます。
ナポリターノ元国土安全保障長官などアメリカの治安関係者の多くが、「国内のテロ対策はアルカイダやISISなどの外国のテログループへの対策よりもはるかに難しい」と述べています。この20年、アメリカ政府の反テロ活動は主に国際テロ対策に集中してきました。この分野でいくつかの成功は収めてはいるものの、この間、アメリカで国内のテロリズムが成長しており、今回、アメリカ国内で生まれた若者が、銃器を用いて9.11以来最大のテロを引き起こしました。警察当局によれば、マティーン容疑者は、同性愛に反対しており、ナイトクラブへの襲撃ではISISが用いている宣伝や暴力の影響が見られるとしています。このため、オバマ大統領はこの銃乱射事件は、アメリカ国内での外国のテロ活動から生じたものではなく、国内のテロや過激派の存在を表すものだとしたのです。このことから、アメリカ国内の過激派の根源を取り除かなければ、同様のテロ事件が繰り返されることになるのです。