視点;対アジアをめぐり最高潮に達したG7内の対立
最近、日本とその周辺でG7・先進7カ国の関係者らによる会合が開催され、多くの国際関係分野の評論家の注目を集めました。
マクロン仏大統領の対中姿勢をめぐる発言を受けて、G7の外相らは、中国との対立、そして国際体制における中国およびその外交・政治的役割に対する懸念について、統一の取れた1つのアプローチを探ったまま、会合を終えました。
また、公式会合では、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリアのG7各国が、対ウクライナ支援の強化、そしてロシアへの圧力行使方法をめぐり合意し、ロシアに対するより厳しい立場表明を要求しました。
しかし、これらの姿勢を強化し、具体的な結果を出すことは容易ではなく、決まり文句の繰り返しでは所詮、G7メンバー間の舞台裏に潜む歴然とした見解対立を隠蔽することはできません。
こうした中で、ブリンケン米国務長官は、G7はあくまでもアメリカが中心であることを証明しようとしており、お決まりの通常の内政干渉的なやり方に依拠して、G7会合を米の対ウクライナ政策を支持する場へと転換させようとしました。
米情報筋によりますと、バイデン政権の目標は、ウクライナのエネルギーインフラに関する昨年のドイツG7サミットのイニシアチブへの注目、そして軍事支援の継続の保証を含めた、対ウクライナ支持を取り付けることです。
これらの情報筋はまた、「ウクライナ戦争が始まる前の2021年12月にG7によって行使された経済・金融制裁の強化も1つの優先事項になる」と付け加えています。
しかし、ロシアや中国に対するG7としての思惑や考えは果たして本物でしょうか。
答えは決してイエスではありません。ウクライナでの戦争が疲弊を伴うものになったことから、大西洋の両側に位置する欧米諸国間の対立がさらに広がり、ヨーロッパ諸国の関係者の間では秘密外交により解決したいという要望が高まりました。
それ以上に、フランスは、中国に対し完全に否定的なアメリカの政策を批判する一方で、西側諸国が中国とロシアに対し同時に対立することの危険性、そしてフランスや他のヨーロッパの主要国でさえこれらの紛争の同時並行が不可能であることをアメリカに気づかせようとしています。
このような状況では、G7会合から生まれた公式の声明や文書には真の価値はないと言えます。
今回も、G7会合の戦略的側面よりもプロパガンダ的側面が好まれ、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本、カナダの各国政府にとってこの会合を開催した成果は、せいぜい数枚の記念写真の撮影が関の山だったように思われます。
東アジアにおける米国の同盟国としての日本の努力でさえも、G7会合の偽りのイメージ作りに効果はありませんでした。
日本の林外相は、「世界はウクライナ戦争における転換点に直面しており、ウクライナに対する力の行使や侵略、核兵器使用の示唆による脅迫、一方的な現状変更を狙う一切の目論見を断固として拒否する必要がある」と主張しました。
こうした表明の一方で、日本政府関係者は、国際体制に戦略的かつ継続的な危機を生み出すNATO北大西洋条約機構の主張の結果や影響について、ほとんどと言ってよいほど言及していません。
もっとも、この数日間においては日本の政治・メディア環境では、ロシアや中国への対処における日本政府の対NATO協力についても一連の批判が見られます。
このことは、日本国内でも脅迫的でバランスの取れていない外交政策の踏襲をめぐり内分裂や対立があることを示しているのです。