露印の協力拡大はトランプ米大統領の圧力政策に対する報復か?
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プーチン・ロシア大統領(左)とジャイシャンカル・インド外相(右)が会談
トランプ米政権がインド政府にロシアとの関係縮小を迫っていたのと時を同じくして、ジャイシャンカル・インド外相がロシア首都モスクワを訪問し、同国のウラジーミル・プーチン大統領と会談しました。
【ParsToday国際】プーチン大統領は今月21日、ロシア・インド政府間貿易・経済・科学技術・文化協力委員会のインド側委員長であるジャイシャンカル・インド外相と会談しました。
その前日、ジャイシャンカル外相とマントゥロフ・ロシア第1副首相はモスクワで両国間の経済協力合同委員会を招集しました。マントゥロフ副首相はこの会合後、「過去5年間で、ロシアとインドの貿易はほぼ7倍に増加した。インドはロシアの3大貿易相手国の一つである。ロシアとインドの貿易の90%以上はそれぞれの自国通貨で行われている」と述べています。また「ロシアとインドは北極海航路と南北輸送回廊を共同で開発する意向である。インド南端タミル・ナードゥ州におけるテクダンクラム原子力発電所プロジェクトの成功経験を踏まえ、原子力エネルギーの平和利用の分野におけるロシアとインドの協力が拡大することを期待している」ともコメントしていました。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相もジャイシャンカル外相との二者会談で「現状において、国際舞台における我々の交流は、特に新たな客観的多極体制の形成に伴い、重要性を増している。この新たな現実において、SCO上海協力機構、BRICS新興経済国グループ、G20・主要20か国・地域といったフォーラムは、ますます大きな役割を果たしている」と強調しています。
ジャイシャンカル外相はまた、インドがロシア産原油を購入していることを口実にアメリカがインドに対し前例のない脅迫と圧力をかけていることにも言及し、「アメリカはこれまで世界市場の安定維持を主張してきたにもかかわらず、わが国がロシアから原油を購入していると非難する米国の論理には驚きを禁じ得ない」と語りました。また、インドが中国や欧州と異なり、ロシア産原油や液化天然ガスの最大の輸入国ではないことを強調し、「米国はここ数年、インドに対し、ロシアからの原油購入を含め、世界のエネルギー市場を安定させるために全力を尽くすべきだと主張してきた」と述べています。同外相はさらに「我々は米国からも石油を購入しており、その量は増加している」とした上で、「インドによるロシア産石油の購入がウクライナ紛争を悪化させている」という米国当局者の発言についての質問に答え、「正直に言って、米国の主張の論理には非常に困惑している」とコメントしました。
インド外相のこの発言は、世界エネルギー政策におけるアメリカのダブルスタンダード、そして他国との関係における覇権主義的かつ威圧的な姿勢を改めて如実に物語るものです。事実、インドはロシアからの原油購入継続を理由とした対米輸出品への50%関税賦課など、米国からの全面的な圧力行使にもかかわらず、様々な側面で引き続きロシアとの関係拡大を重視し、アメリカの威圧に屈することはありませんでした。
全体として、複数の証拠資料は、ロシアとインドの協力拡大がトランプ政権の圧力と高関税政策に対する戦略的な対応として大きく位置づけられていることを示唆しています。この協力の背景と理由は、以下のように要約されます;
- インド製品に対する米国の関税引き上げ:トランプ政権はインドからの輸入品に対する関税を50%引き上げた。これにより貿易摩擦が生じ、インドはアメリカのライバル国、特にロシアと中国との関係強化を迫られた。
- アメリカの圧力に対するインドの抵抗:インドは屈服しなかっただけでなく、ロシアおよび中国との経済関係をより急速に拡大した。この動きは、インドが外交的および経済的独立を維持する決意を示している。
- ロシアからの石油輸入:インドはロシア産石油の最大の購入国の一つである。米国は、これらの購入をウクライナ戦争への資金提供とみなし、経済面での圧力行使によりインドにこの道を断念させようとした。しかし、インドはこの主張を否定し、西側諸国の「二重基準」の一例とみなした。
- エネルギーと輸送協力の発展:ロシアとインドは、北極圏の資源採掘や南北輸送回廊の開発など、エネルギー分野で共同プロジェクトを進めている。
総じて、インドとロシアの関係拡大は、特にトランプ政権下において、西側諸国への依存削減および米国の一方的な政策への対抗を目的としたバランスの取れた外交の一環であると捉えることができます。こうした協力は経済面での拡大にとどまらず、国際体制の多極化とアジアにおける米国の影響力の縮小を強調するという、重要な地政学的メッセージも含んでいるのです。