南コーカサスに対するイランの影響力は低下したのか?
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4日付の米政治誌「ザ・ヒル」は、「イランはアゼルバイジャンとアルメニアの和平合意の最大の敗者」と題する記事を掲載し、いくつかの誤った主張を展開しました。
(last modified 2025-09-08T10:58:28+00:00 )
9月 07, 2025 15:19 Asia/Tokyo
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    南コーカサスに対するイランの影響力は低下したのか?

4日付の米政治誌「ザ・ヒル」は、「イランはアゼルバイジャンとアルメニアの和平合意の最大の敗者」と題する記事を掲載し、いくつかの誤った主張を展開しました。

【ParsToday国際】この記事は、オランダ・グローニンゲン大学の研究員であるモズロム・オズカン氏が執筆したもので、先月にトランプ米大統領の仲介で実現したアルメニアとアゼルバイジャンの和平合意がイランにとって「戦力的な大敗北」であったと主張しました。

今回の和平合意では、アゼルバイジャンとその飛び地領・ナヒチェヴァン自治共和国を結ぶ回廊をイラン国境沿いのアルメニア領を通過する形で設置することが盛り込まれています。また、アルメニアはその回廊と建設のための土地を99年間にわたって米国に貸与し、建設工事も米民間企業が請け負うとされています。

こうしたことから、オズカン氏は、この合意がイランを避け、南コーカサス地域におけるアメリカの恒久的な足場を築くことになるとしています。

オズカン氏の主張には、ここ1年のイランの地域的な立場、特にイラン・イスラエル戦争に関する動きと関連して、イランの地域的な地位を弱体化させる意図が見え隠れします。また、トランプ氏の仲介はノーベル平和賞を獲得する目的で行われたPR活動であり、彼の戦争を煽る行動を考慮すれば、実際には嘘であると言えます。

オズカン氏の主張が誤りである理由はいくつかあります。まず、この回廊建設の実現には大きなな課題と障害が伴うという点です。現在、回廊の名称についてアルメニアとアゼルバイジャンの間で意見の相違があります。これに関して、先日中国で開かれた上海協力機構の拡大会合で、アルメニアのパシニャン首相とアゼルバイジャンのアリエフ大統領の間で応酬が生じたことが指摘されています。

この会合で、アリエフ氏は回廊の名前を「ザンゲズール回廊」と発言したのに対し、パシニャン氏は「アゼルバイジャン大統領が使った言葉は、米国で合意された論理の枠組みでは理解できない」と述べました。このように、名称についてさえ合意がない状況で、回廊の建設は非常に困難で時間がかかることは明らかです。

次に、アルメニアの政府高官は、イランとの交流や貿易、交通に影響を及ぼすことなくこの回廊の建設が行われることを繰り返し強調しています。この点についてもパシニャン首相は、アルメニアがイランとの鉄道網接続に意欲を持っていると強調しています。

イランのペゼシュキヤーン大統領もパシニャン氏との電話会談で、アメリカの関与による回廊建設について言及し、このプロジェクトの実施において、アルメニアの主権を尊重し、アメリカが経済と平和の名の下に干渉的な目標を追求する可能性に対して警戒するよう警告しました。そして、この回路が真の平和と発展の道となることを確認する必要があると述べました。

パシニャン首相も、「イランの自国の主権と領土保全を守る姿勢は、我々にとっても重要だ。我々は友好国であるイランの利益、思慮、そして懸念に応えなければ、いかなる合意にも署名しない」と述べました。

パシニャン氏は、イランとの関係はアルメニアにとって特別な位置を占めるものであると強調し、「アルメニアはイランとの関係を戦略的とみなし、すべての重要な決定や行動は相互の協議と調整を基に行われる。我々はこの関係の基本的な原則として透明性と誠実さを掲げており、このアプローチは常に堅持される」と述べました。

 


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