アメリカのTHAAD配備の強調
アメリカのミサイルシステムTHAADの韓国配備に関する両国の最近の合意が、韓国の人々のほか、北朝鮮、ロシア、中国といった地域諸国の大規模な反対に直面している中、アメリカはこのシステムを出来るだけ早期に配備すると発表しました。
ヴァガーリー解説員
アメリカのラッセル東アジア太平洋担当国務次官補はアメリカ下院外交委員会のアジア太平洋小委員会に向けて、「北朝鮮がミサイル実験の実施を急いでいることから、アメリカは近い将来、韓国にTHAADといったミサイルシステムを配備する意向だ」と述べました。
中国とロシアはTHAADの韓国配備に強く反対しています。なぜならそれを自らの安全にとっての深刻な脅威と見ているからです。しかしながらアメリカとその同盟国は、北朝鮮の5度目の核実験を口実に、対北朝鮮制裁を拡大する共に、THAADを出来るだけ早く韓国に配備しようとしています。
アメリカの政治評論家は、北朝鮮への制裁と軍事力の増強による北朝鮮への脅迫政策を強調していますが、この政策は実際、北朝鮮に核・ミサイル計画を停止させる効果がないことを示しています。一部の政治評論家は、アメリカは実際、北朝鮮を挑発することで、この国を核・ミサイル実験による抑止力の強化に向かわせていると考えています。地域におけるアメリカの主な目的は中国の封鎖、中国の近隣諸国の軍事力の強化であり、東アジアでは韓国や日本、東南アジアではベトナムやタイ、フィリピンと軍事協定を締結することで、また南アジアではインドを通じてこの政策を追求しています。
アメリカのオバマ大統領も最近、この国の軍事戦略について、中国や北朝鮮をけん制するため、東アジアに軍隊を派遣することを明らかにしています。このためアメリカは韓国との合同軍事演習の拡大と、THAAD配備による軍事力の増強により、東アジアでより大きな存在感を示しています。こうした中、中国、ロシア、北朝鮮は何度となく、THAAD配備など地域におけるアメリカの軍事政策の結果に関して警告を発しています。
冷戦時代に別れを告げてから長い時が経過していますが、アメリカは、東アジアで新たな軍事関係を築き、中国の更なる孤立化に向け努力することで、冷戦時代の雰囲気を復活させようとしており、北朝鮮の核実験もまた、こうしたアメリカの政策の実行に向けた格好の口実となっています。こうした中、北朝鮮もまたアメリカとその同盟国の侵略政策に対抗するためだとして、抑止力の強化を正当化しています。
いずれにせよ、朝鮮半島におけるアメリカの軍事力の強化により、武器競争が激化しています。こうした中、中国はこうしたアメリカの政策に入るつもりはありません。このため、ASEAN東南アジア諸国連合などの地域諸国との協力の強化によって、非軍事的な方法、政治的な手段を通じ、地域の安定や安全を実現することができることを示しています。