アメリカ大統領選挙の熾烈な争い
アメリカ大統領選挙の選挙戦が終盤に近づいています。
アボルファトフ解説員
アメリカ大統領選挙の共和党、民主党候補のトランプ氏とクリントン氏は、選挙本番までの残り13日間で、多くの人の支持を取り付けようとしています。トランプ氏は11月8日の選挙を、アメリカを救済するための最後の機会だとしています。クリントン氏もトランプ氏をアメリカの民主主義にとっての脅威だとしています。
アメリカの政治、選挙の慣習に基づき、これまで候補者や政党は、互いの政策を批判しあってきました。今年の選挙で、この国の将来の政治体制の基盤、原則が揺るがされています。トランプ氏はアメリカの現状を「暗い」とし、国を衰退から救う唯一の道は今年の選挙であり、自らの勝利だとしています。トランプ氏はこれにより、現在の政治システムや政治家に不信感を持ち、選挙に参加しない有権者が投票に向かうことを期待しています。トランプ氏の支持者は、選挙システムへの抗議が増せば、トランプ氏の勝利のチャンスが増すと考えています。
これに対し、クリントン氏は、アメリカの現在の政治・経済構造を支持すると共に、トランプ氏を自ら、そして民主党のみならず、アメリカの民主主義にとっての脅威だとしています。クリントン氏は国の政治構造の維持に対して無関心であるか、あるいはそれを革新しているために選挙に参加しない有権者たちに向かって語りかけています。クリントン氏の支持者は、アメリカの民主システムへの警鐘を鳴らすと共に、トランプ氏に対する一種の社会的な動員が開始されることを期待しています。
いずれにせよ、アメリカの二大政党の争いが激化し、11月の選挙が保守派とリベラル派にとって生死を分ける問題に変わることで、今年の選挙への投票率が増加すると見られています。とはいえ、選挙に無関心な有権者の率は高くなっています。
こうした中、アメリカの大統領選挙は、多くの点から以前の選挙とは異なっています。このためこの選挙はおそらくある程度、投票率の低さという慢性的な現象を変えるでしょう。今からこの選挙の健全性に関して大きな疑いが生じており、多くの人が今もクリントン氏とトランプ氏の争いは最終的に国の多くの問題を解決することは出来ないと考えています。