一日一冊、本の紹介(27)
アメリカのユダヤ人の歴史家、ニール・ギャブラーによる著作、『彼ら自身の帝国:いかにしてユダヤ人はハリウッドに投資したか』は、アメリカの映画産業におけるユダヤ人の創始者たちの生涯について語っています。
この本はアメリカの映画産業に関する優れた本のひとつとされており、著者はパラマウント、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ワーナー・ブラザーズ、ユニヴァーサル、コロムビアなどの著名なハリウッドの映画企業の創始者の生涯について、彼らの東欧での子供時代、アメリカへの移住、映画産業に対する支配について記しています。この本の第1部は5章立てで、それぞれの章は、5つの企業の創始者について割り当てられています。そのほかの章では、ハリウッドのユダヤ人の一族と社会生活、ユダヤ人とアメリカ的価値観、ハリウッドのユダヤ人と政治、創設者の死と帝国の没落などについて語られています。
これらの企業の所有者と、俳優、そして監督の主人と奴隷の関係、彼らの一部の不審な死を伴う奇妙な競争がこの本に記されています。また、この本の興味深い部分として、ユダヤ人による映画の非道徳的な内容に対する抗議や、どのようにしてハリウッドの資本家によって、検閲の規則が取り払われたがといった内容が挙げられます。
作家で映画監督、芸術大学の映画科の教授を務めるマジード・シャーホセイニーは、この本の序文で、次のように記しています。「この本はハリウッドの巨人たちの生涯について比較的正確に記しており、彼らの生涯の歴史の一部分を詳細に説明している。こういった巨人たちは芸術的なロビーや、マンハッタンの銀行家の資金援助、カバラ主義的ユダヤ教ラビの導き、アメリカのメディア王たちのうわさや情報などにより、最終的にアメリカにユダヤ人の最大の帝国を築くことができた。この価値ある本ですばらしい点は、一部のハリウッドの名士が人種主義的なシオニズムの傾向を明らかにしていることだ」