ペルシャ語ことわざ散歩(204)「月とともに座れば月になる、釜とともに座れば黒くなる」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「月とともに座れば月になる、釜とともに座れば黒くなる」ということわざをご紹介してまいりましょう。
このことわざは、ペルシャ語では Baa maah neshiinii maah shavii, baa dig neshiinii siyaah shavii と読まれます。
もしかすると、皆様の中には文字通りの意味から本来の意味を何となくご想像いただけた方もいらっしゃるかもしれませんね。
この表現は、日本語のことざわの「朱に交われば赤くなる」に近い意味を表しています。すなわち、自分の身の周りにいる人や日頃よく付き合う人が、自分にとっての言動の模範となる、または自分の身の周りの人から言動や性格面での影響を受けやすいことを意味しています。
特に、イラン人的な物の捉え方やペルシャ語の表現においては、月は明るく魅力的な存在とされ、ペルシャ語で「月のような顔」と言えば非常に美しい顔や見目麗しさを意味します。
また、調理に使われる鍋や釜は、ガスや焚火の火にかけられ黒くなることから、釜と一緒にいれば黒く、即ち悪い方向にそそのかされる、というふうに捉えられています。
「人は、付き合う人を見れば分かる」とも言われるように、ある人の人柄などを判断するにはその人の交友関係を調べればよい、ということはよく言われることです。
ちなみに、イスラムの聖典コーラン第25章、フォルガーン章「識別」の第27節から29節にかけても、付き合う人を選ぶことの大切さが述べられており、「その日、悪を行った者は、(しまったと、)その手を噛み、言うであろう。『ああ、私がもし使徒と共に(正しい)道を選んでいたならば。ああ、情けない、私があのような者を友としなかったならば。誠に彼は、訓戒が下った後に私を迷わせた。悪魔は常に人間を裏切る』」と書かれています。
一般的にも、人生の幸福度を決める大きな要因として人間関係の良し悪しが指摘されています。これからの人生を価値ある、実り多いものにするためにも、できる限りご自分にとってためになる、建設的で学びあえる有益な付き合いを厳選したいものですね。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。