1月 20, 2024 16:38 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。現在のイランで実際に使われているペルシャ語の生きた表現を毎回1つずつご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「梯子では天まで上れない」ということわざをご紹介しましょう。

この表現は、Baa nardebaan be aasemaan nemishe raft と読まれます。

恐らく、皆様の中には、文字通りの意味から何となく本来の意味をご想像いただけた方もいらっしゃるかと思います。

このことわざに出てくる「梯子で天まで上る」というのは、不可能なことや無理難題を意味しています。単純に考えても、梯子では天空に上がることは到底無理で、宇宙ロケットにでも乗る必要があります。そこで、全体としては「他人に無理難題を押し付け、それを達成するよう期待する」、または「短時間ではできそうもないことを無理やりやらせようとする」ということを意味しています。また、何かをするには正しい方法やルートから入らなければならない、とも解釈されます。

さらには、無理な要求を押し付けてくる人に対し、このことわざを使って「あなたの要求は地球ではなく宇宙の方法で解決しなければならないが、私たちには宇宙に行くための梯子がないので、あなたの要求には応じられない」という場合もあります。

実際に私がイランで耳にした、このことわざが使われていたケースをご紹介しましょう。

ある人が英語の書類をペルシャ語に訳そうとしていた時に、学校で英語を習い始めて間もないその人の子供が「お父さん、単語の意味をネットで調べれば単語1つ1つの意味が書いてあるから、それをつなげば訳せるでしょ?」と言いました。

それに対して、その子の父親は一語一語の意味を調べて訳語をつないでも正しい文章にはならないことを知っていました。そこで、子供に対し「単語の意味だけ分かっても駄目だよ。単語1つ1つの意味は分かっても、文全体として全然意味が分からないこともあるんだよ。梯子では天まで上れないからね」と説明していました。

実際、私自身も日々の翻訳業務で同じようなことを感じていますし、このお父さんの説明は見事な回答だと思いますが、皆様はどのようにお考えでしょうか。それではまた。

この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。

 

 


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