コンピュータ・ゲームにおける西側諸国の好戦主義の正当化と暴力
前回は、コンピュータ・ゲームが青少年に及ぼす弊害について説明しました。今回は、こうしたゲームにおける西側諸国の好戦主義の正当化と暴力、さらにはイスラム恐怖症の広まりや宗教の神聖の冒涜について考えることにいたしましょう。
ユーザーの興奮を高める犯罪的な内容のPCゲーム
コンピュータ・ゲームは、現代の世代の思考や意識に相当の影響を及ぼしています。現在、ユーザーが容易に入手できる多くのデジタルゲームの中には、モラルに反する非宗教的な概念や、西側諸国の生活様式を広めるゲームが存在します。精神科医は、ゲームの中に入ると、心理的に自分がゲームに出てくる登場人物になったような気分になり、その人の欲求や価値観までもが、ゲームの登場人物と同じようなものになります。こうした傾向は、ゲームを繰り返し行うことにより、次第にその人の意識に定着して、その人の潜在意識を形成し、今後の行動を誘導します。その結果、コンピュータ・ゲームは世論の方向性を定め、誘導する上で、時にはテレビや映画といったメディアよりも大きな影響力を持つと言えます。
デジタルゲームの開発者や製造者は、ゲームの興奮度を高めるために、暴力シーンやモラルに反する場面を見せようとしますが、これは確実にユーザーの思考や精神に好ましくない影響を及ぼします。こうしたゲームのほとんどは、力の欲求や暴力を目的としており、このためどちらかと言えば男性のユーザーをひきつけています。また、こうしたゲームにおいて教え込まれるのは、人間は自分の欲求を満たすためには暴力に訴えてもよい、という考え方です。この点について言えば、アメリカのゲーム、グランド・セフト・オートシリーズは欲求を満たすためにあらゆる犯罪を行うという内容になっています。
暴力的な内容のゲームは、ユーザーに最初から考える猶予を与えず、ある決まった任務を与えられた1人の兵士として、武器などを与えた上で、ユーザーを興奮する空間に放り出します。これにより、ユーザーは殺害や暴力を行うため全力を尽くすことを義務付けられます。しかし、ユーザーは自分がどこの国のために戦っているのか、また戦うべき国や相手が誰なのかに気づいていません。ゲームに出てくるテロリストが、現実の世界に存在するテロリストと比較できるものなのか、それともその逆なのか。なぜ罪のない人々の殺害が許されるのかなどについて、ユーザーは知らないのです。
女性がPCゲームの開発者の新たなターゲットに
しかし現在、コンピュータ・ゲームの企画者たちの注目をこれまで以上に集めているのは、男性よりも影響を受けやすい女性のユーザーです。ゲームの開発者は、自分を見せたいという女性の性質に干渉し、自らの目的にかなった新しいゲームを開発しています。
コンピュータ・ゲーム企業連合は、社会における最も重要な教育の場が、家庭であり、その中心が母親であることをよく理解しています。彼らは、社会や家庭のこの重要なメンバーの思考を導こうとしているのです。最近では、ごく簡単な検索のみで、少女向けのオンラインゲームに関する数百のサイトが見つかります。こうしたゲームでは、ユーザが部屋の整理や衣服のデザイン、化粧の選択、パーティーへの訪問、歌手や演奏家、レストラン経営、髪型のセット、ペットに着せる服の選択など、生活の様々な場面におかれます。この種のゲームでは、少女たちは1人の大人の女性に、おしゃれをさせ、パーティーに行かせなければなりません。あるいは、時にはある少年と友達になって、駆け落ちしなければならない、という状況に置かれます。
実際、こうしたゲームの目的は、少女たちを消費志向や露出に向かわせ、母親の役割や母性という価値観から彼女たちを遠ざけることにあります。このことは、女性としての本質に反するものであり、確実に少女たちに大きな精神的悪影響を与えることになります。
戦争の正当性を吹き込むPCゲーム
コンピュータ・ゲームの企画者の目的の1つは、こうしたゲームにおける戦争の正当化です。即ち、彼らは西側諸国により戦争が始まった場合、それは他国の市民の人権を支援するためである、ということを吹き込むよう、ゲームを企画、開発しているのです。戦争のシュミレーション・ゲームは、かなり前からコンピュータ・ゲームのシナリオの1つとなっており、これは多数の支持者を得ています。このことは、世界に対する西側諸国の軍事侵略の下地を作る、あるいはこれを正当化するための手段としての役割を果たしているのです。
大手のゲームメーカーは、武器によらないソフトな戦争の担い手となっています。これは、現在、アメリカを筆頭とする覇権主義国が自国の拡張主義政策を正当化するために使用する武器なのです。アメリカのエレクトニックアーツ社が開発した「バトルフィールド3」は、他のゲーム開発業者をも多くの戦争ゲームの開発へと向かわせています。
PCゲームを通じての西側によるイスラムへの敵対
天啓の宗教、特にイスラムに対する西側諸国の敵対は、目新しいものではありません。これまで長年にわたり、ハリウッド映画などでは、宗教に対する攻撃や侮辱が行われてきました。一方で、西側諸国のメディアのほかの部門では、唯一神やその預言者、宗教の偉人や宗教の聖典に対する、人目に触れない形での侮辱が行われています。そうした侮辱行為は、西側諸国のコンピュータ・ゲームという形で、聖なる存在に対して行われています。つまり、直接的には感じられない形で宗教の信者の家庭に入り込み、彼らの宗教信仰を攻撃のターゲットにしているのです。こうしたゲームの多くは、宗教の教えの歪曲やそれらを迷信とし、最終的には社会から宗教を排斥しようとしています。
こうした中、世界的なシオニズムが、イスラムに反対する国際的なプロパガンダの筆頭として、イスラム恐怖症を引き起こす上で大きな役割を果たしています。シオニストは常に、かなり前からコンピュータ・ゲームによって目的を達成しようとしているのです。最近におけるこうした措置の例として、イスラムに反対する内容のコンピュータ・ゲームの開発が挙げられます。シオニストの企業連合は、子供たちを標的とし、イスラム恐怖症を低年齢の子供たちに植え付けています。世界規模で行われた調査によりますと、世界ではこれまでに、イスラムに反対させることを目的とした、多くのコンピュータ・ゲームが開発されているということです。
一部のコンピュータ・ゲームでは、ゲームの流れがイスラム教徒の神聖さの一部を貶めようとしていることが分かります。そうしたゲームでは、神の預言者やイスラムの預言者一門の名前やタイトルが、テロリストを示すものとして使われ、ある意味でこうした宗教の偉人たちの人物像を歪めているのです。こうしたゲームの製造者は、イスラムの宗教施設やモスク、聖典コーランがテロリストの象徴となっているゲームを開発、供給し、イスラム教徒が悪人やテロリストであることを、ユーザーに吹き込もうとしています。
現在、コンピュータ・ゲーム企業は、イスラム教徒を攻撃する内容のゲームの開発において競争しています。例えば、フランスのユービーアイソフトは、スプリンターセルというゲームを、ブラックリストという名称で売り出しています。このゲームの内容は、イランへの攻撃であり、その一部ではイラン軍の殉教を求めるスローガンが聞こえてきます。さらに、このゲームの別の場面では、アリー・ローハーニーという名前の人物がイランの軍人の1人として登場し、暗殺されるというストーリーになっています。
西側諸国の好都合な道具となっているPCゲーム
今日、コンピュータ・ゲームは極めて影響力のある手段となっており、その特質により様々な社会において文化を形成し、行動に変化を起こすことができます。この手段は、特にアメリカをはじめとする西側諸国の宣伝機関に新たなチャンスをもたらしており、それにより彼らは世界における自らの軍国主義的な行動を正当化し、国際社会の意識を、自分たちの推進する拡張主義政策の支持へと誘導しています。
一方で、西側諸国は特にイスラム教徒の若者をはじめとする、すべての人々から、神聖さの尊重や、西側諸国の影響の拡大を阻む宗教への関心を失わせ、イスラム諸国に対する覇権主義国の影響の拡大と、資源の略奪の下地を整えようとしています。家庭や社会の責任者が、コンピュータ・ゲームの内容を知らず、こうしたゲームの影響を軽視していることから、この包括的なメディアでは侮辱行為が続けられ、神聖なものに対する侮辱をテーマとしたゲームが日々開発されているのです。