12月 28, 2016 17:43 Asia/Tokyo

今回は、イラン北部ゴレスターン州にあるゴミーシャーン国際湿地についてお話しましょう。

ゴレスターン州は、イラン北部にある州で、トルクメン、ファールス、スィースターニー、バルーチ、トルコ、マーザンダラーニー、カザフなど、さまざまな民族が暮らしています。この美しい州を訪れれば、たくさんの民族に出会うことでしょう。

 

ゴレスターン州は、多くの美しい町や地域を有しており、一年を通して国内外から多くの観光客がやって来ます。この州のお土産には、ジャージームと呼ばれる敷物や魚、キャビア、じゅうたん、その他、さまざまなお菓子やパンがあります。ゴルガーン、バンダルトルキャマン、バンダル・ギャズ、アーザードシャフル、ゴミ―シャーン、ゴンバドカーブ―スといった都市が、この州の見どころとなっています。

 

ゴレスターン州には、森林公園、滝、泉、神秘的な洞窟などが数多く存在します。ナハールホラーン森林公園、ゴレスターン国立公園、アラングダレ森林公園、ゴログ森林公園が、この地域にある公園です。

ゴログ森林公園のシカ

 

 

泥火山(でいかざん)も、ゴレスターン州の類まれなる観光の見どころで、あまり知られていないにもかかわらず、非常に美しく、治療の効果も期待できます。これらの泥火山は自然の心臓部と見なされています。大小の円錐形をした大小の泥が、円錐形の口から地表に流れ出て、他に類を見ない景色を作り出しています。泥火山は、観光分野の専門家だけでなく、地質学者にとっても大きな重要性を有しています。

 

湿原もまた、ゴレスターン州の自然の見どころのひとつです。ラムサール条約に登録された24の国際湿地のうち、この州に位置する湿地は2つあります。そのうちのひとつ、アーラーゴル・アルマーゴル・アージーゴル湿原についてはこれまでの番組でご紹介しました。この時間は、もうひとつのゴミ―シャーン湿原についてお話ししましょう。

 

ゴミ―シャーン湿原は、ゴミーシュタッペ行政区に位置しています。ギャミーシュタッペは、トルクメン語で銀色の丘を意味します。この湿原は、比較的幅の狭い帯のような形をしており、カスピ海の南東の沿岸に北から南に広がっています。ゴミ―シャーン湿原は、ゴミ―シャーン市から北に2キロの場所から始まり、トルクメニスタンとの国境まで続いています。この湿原は、バンダルトルキャマンからおよそ24キロ離れています。面積は1万7700ヘクタールで、海抜はマイナス27メートルです。

地図上のゴミ―シャーン湿原の位置

 

ゴミ―シャーン湿原は、海岸に延びています。この湿原の水の塩分は、カスピ海の海水の影響を受けたものです。水深はカスピ海の水量の変動に合わせて変化しますが、大抵は、南部の部分の最低1メートルから、トルクメニスタンとの国境近くの最大2.5メートルの間です。概して、この湿原は、夏は暑くて湿気があり、冬は温暖です。

ゴミ―シャーン湿原

 

 

ゴミ―シャーン湿原は、渡り鳥が冬を過ごすための重要な場所です。この地域は渡り鳥が冬を過ごす安全な場所として、また魚が産卵したり、希少価値の高い種を惹きつける上で、高いポテンシャルを有しています。これまでに、この湿原で22種類の鳥が確認されています。

 

ゴミ―シャーン湿原には、塩湿地に生育する塩生植物が多くみられます。

ゴミ―シャーン湿原

 

 

この天然資源を保護するため、ゴミ―シャーン湿原の1万4000ヘクタールが、1997年、狩猟禁止区域に設定されました。ここでは、一年のうち一定の期間のみ、環境保護局からの許可に基づき、地域の住民によって狩猟や漁業が行われています。この湿地を保護区とするためのプロジェクトも進められています。

ゴミ―シャーン湿原のバードウォッチング

 

ゴミ―シャーン湿原は、2001年から、ラムサール条約に登録された湿地のひとつとして、この条約の規定のもとに置かれています。この湿原はまた、国際機関から、鳥類の重要な生息地とされています。

 

ゴミ―シャーン湿原には、野鳥を観察しようとする多くの人が訪れます。この地域では、多くのバードウォッチャーが、カメラや望遠鏡で野鳥を観察しています。ゴミ―シャーン湿原の狩猟禁止区域を訪れるには、ゴレスターン州の環境保護局の許可を得なければなりません。この許可は、特定の個人や団体に、一定の期間のみ、発行されます。

 

 

水鳥の狩猟や漁業が、この地域周辺の住民の主な経済・社会活動となっています。これらの活動は秋から冬に行われ、彼らの収入の一部となっています。この他、この地域の経済・社会活動には、湿原周辺の土地での小麦や綿花の栽培などがあります。また、漁業のコントロールやエコツーリズム、学術的な観光といった点でも高いポテンシャルを有しています。

 

湿原は、さまざまな動植物の生息地、自然の宝庫、創造の傑作とみなされ、観光客を誘致する上で多くの役割を果たしています。

 

湿原の北東から東は、平坦な土地が広がっていること、高地がないこと、南部の森林から離れていること、トルクメニスタンの砂漠に近いことなどから、乾燥・半乾燥地帯の影響を受けています。南から国境に進むにつれ、この気候が顕著になります。つまり、60キロしか離れていないのに、年間降雨量が700ミリのゴルガーンに比べ、この地域の降雨量は250メートルにも満たないほどです。このような特徴は、ゴミ―シャーン湿原のカスピ海に近いところで変化し、西側では好ましい気候となっています。

 

ゴミ―シャーン湿原に行くためには、バンダル・トルキャマンから北に向かい、およそ20キロほどでゴミーシュタッペ行政区に着き、そこから北へにさらに10キロほど進みます。