4月 14, 2018 18:03 Asia/Tokyo
  • 喜び  
    喜び  

今回は、家庭内において喜びを生み出す要素について考えることにいたしましょう。これは、WHO・世界保健機関が今年の世界保健デーのテーマをうつ病とした現在、私たちが最も追求するものではないかと思われます。

皆様も今までにきっと、非常に性格の悪い人を何人かは見たことがあるのではないでしょうか。専門家の間では、このような人々は生きることの喜びを知らない家庭で育ったと考えられています。そのような家庭の父親は、喜んだり笑ったりする術を持たず、母親も家庭に喜びをもたらす下地を作らなかったと思われます。過去の経験から、大きな喜びを伴う家庭で育つ子どもは、あらゆる点でより成功を収めていることが明らかになっています。

心理学者の見解では、喜びを感じている人は目的を持って生活し、目標に集中します。彼らは、命や時間の尊さを認識しており、人生の時間を有効に活用し、喜びを感じるとともに、明るい未来のビジョンを持っています。さらに、計画性があり、時間の管理を大切なものと考え、人生において努力することや仕事への意欲を持っていて、神の恵みに感謝しています。こうした人はまた、にこやかで微笑みを忘れることがありません。笑顔は、喜びを生み出し、他人との関係を築く上で大きな影響力を持っています。心理学においては、笑うことを、病気を治療する技術の一つであるとしています。

家庭においては、母親が家族の成長や才能の発揮、そして社会において成功した家庭を生み出す上で重要な役割を果たしていることから、母親は家庭内に喜びを生み出す鍵を握っていることになります。母親とそのほかの家族の間では、緊密なコミュニケーションがなされており、母親の性格や感情はほかの家族に直接影響を及ぼします。母親は、子どもたちにとって適切な環境を作ることで、子どもが多くの社会問題に巻き込まれないよう、家庭を安全で平穏なものにすることができます。喜びに溢れた女性は、他人に愛情を注ぐという技術を実につけていることから、こうした愛情は一生涯を通してその人の行動の全般に現れ、そのために配偶者や子どもはそうした女性の傍らでは安らぎや安心感を感じるのです。

母親と子供

 

家庭内に喜びをもたらす上で大きな効果を発揮するもう1つの要素は、家族に感じの良い行動をとることです。これに関する、イスラムの預言者ムハンマドの伝承には、次のように述べられています。

「預言者は、”あなた方に、私自身に最もよく似た人々を教えようか?”と告げた。すると、人々は、はい、と答えた。これに対し、預言者は次のように述べた。

“より性格がよく、より柔和で、自分の周りの人々に対しよりよく対応し、同胞をよりよく愛する人はより忍耐強く、怒りを抑え、より寛大で、怒りと喜びを表す際に、より公平に振舞う”」

喜び

 

感じのよい対応や性格の良さは、その人自身やその周りの人々に喜びや心地よさをもたらすエッセンスのようなものです。実際に、性格が良いことでその人自身が喜びにあふれ、生き生きとした状態が維持されるだけでなく、その人の家族全員にも精神的な安らぎや喜びがもたらされるのです。それでは、性格が良いこととは、どのようなことなのでしょうか?この疑問に対する答えとして、シーア派6代目イマーム・サーデグは次のように述べています。“柔和な性格を持ち、優しい人であるがよい。そして、話し方を礼儀正しい、きれいなものに保ち、自分の兄弟に対し、感じよく接しなさい”

宗教の教えにおいては、喜びにあふれた家庭を持つための数多くの教示がなされています。まず、夫婦が共同生活を始めるに当たって、家族関係における夫婦は、信仰心を持ち、互いに笑顔を交わし、明るい表情を見せることで、子どもたちにもこういったものを与えられるようにする必要があります。

コーランの論理によれば、創造世界の性質の原則自体が、人類に喜びをもたらすものとされています。世界の現象の多くは、人間に喜びをもたらしています。

 

信仰心やよい行いは、現世と来世における幸福や成功につながるとともに、友情や親しさをもたらします。夫婦が宗教的な節度や決まりを守れば、相手の権利や、相手に対するモラルを守るよう努めるようになります。心理学者の研究では、神や来世の存在を信じる人は、そうでない人々よりも喜びに溢れた生活を送っているとされています。コーラン第13章、ラアド章「雷電」、第28節でも、この点について次のように述べられています。

“彼らは信仰を寄せ、神を想い起こすことで、心の安らぎを得た人たちである。まことに人々の心は、神を想い起こすことによってのみ、安らぎを得る”

 

 

コーランは、人生を肯定的に見るよう奨励しています。幸福になるための秘訣は、このような肯定的な考え方を持つことです。特に、失敗から教訓を得られる人の人生においては、プラス思考は喜びや安らぎの範疇に含まれます。物事をプラスに捉えることに努め、自分の身の周りの問題をプラスに考えるような家庭は、生活そのものが心地よく、本当の喜びに満ち溢れたものになります。例えば、母親が生活上の困難を、生活から切り離せないものとして捉え、そこから何かを学び取ることができれば、生活から喜びが失われることはなく、常に生活上の問題に対処できると思われます。

コーランは、信者たちに快活であるよう奨励しており、第10章、ユーヌス章「ヨナ」、第58節において次のように述べています。

“預言者よ、敬虔な人々に言え、『神の慈悲と恩寵のみを喜びなさい。それらは彼らの蓄えにも優るものである』と”

 コーランはまた、神の恩恵に恵まれ、勝利の栄冠を得たことにより喜ぶ信者たちを励まし、第30章、ルーム章「ローマ」、第4節と5節において次のように述べています。

“その日、信徒たちは神を思い起こし、喜びに浸る。神は、望む全ての人々に勝利をもたらす。誠に、神は並ぶことなき力ををもつ、慈悲深いお方であられる”

大切なことは、最も素晴らしい方法は生きていくうえで喜びを感じること、そして過ぎ去ってしまった過去や、わかることのない未来ではなく、今を目的を持って生きることだということに気づくことなのです。

 

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