4月 15, 2018 16:49 Asia/Tokyo
  • サルバドル・ペルシカ
    サルバドル・ペルシカ

今回も、前回と同様に、歯と口の健康についてお話することにいたしましょう。

歯科医の間では、適切な歯ブラシを選ぶことが強く奨励されています。イスラムの預言者ムハンマドの時代においては、アラブ人たちは歯を磨くためにサルバドル・ペルシカと呼ばれる樹木を用いていました。サルバドル・ペルシカは、砂漠地帯に生息する樹木で、抗菌・組織修復効果を持っています。このため、サウジアラビアやイエメン、インド、イランといったアジアの一部の地域では普通に、この木が見られます。

サルバドル・ペルシカとの樹木

 

植物性の歯ブラシとも呼ばれるサルバドル・ペルシカは、ザクロの木に似ており、年間を通して青葉をつけています。この樹木の枝は細く、葉の表面は光沢を放ち、粘着力のある黄緑色の樹液を分泌しています。この樹木の内部組織は、セルロースで構成されており、そのため、最も完璧な天然の歯ブラシとなりえるのです。

さらに、この樹木には歯の構造を強化し、虫歯を防いだり、歯や歯茎の健康を維持し、歯を白くし、口の匂いをさわやかなものにする効果のある、幾つもの物質が含まれています。

サルバドル・ペルシカ

 

サルバドル・ペルシカは、多くのフッ素を含んでいることから、歯の腐食を防ぐために大きな効果を発揮します。この樹木は抗菌作用を有する物質で構成されていることから、口の中に存在するプラークを初めとするばい菌を殺し、口の中を消毒して口臭を防ぐ効果があります。

サルバドル・ペルシカ

 

サルバドル・ペルシカは、特に炭酸水素カルシウムを初めとする塩化カルシウムを含んでいることから、歯のエナメル質を強化し、歯の腐食を防ぐ効果があります。特に、この木に含まれる塩化物は、歯を清潔に保つ効果があり、葉を白くすることで歯垢の増殖を防ぎます。また、このことにより歯茎の病気も予防できます。さらに、サルバドル・ペルシカに含まれるタンニンやタンニン酸は、殺菌効果や歯のホワイトニング効果があるとともに、歯茎の出血を防ぎ、口の中の傷を修復する効果があります。

 

サルバドル・ペルシカとその効果に関しては様々な研究が行われ、報告がなされてきました。1987年に行われたある調査によれば、サルバドル・ペルシカを使用した際の効果として、虫歯の減少、歯茎の出血や歯垢の予防などが挙げられています。また、1982年に行われた調査でも、サルバドル・ペルシカには歯茎の腫れを防ぐ効果があることが報告されています。

サルバドル・ペルシカ

 

サルバドル・ペルシカと歯茎の健康に関して1990年に行われた調査の結果、緻密な繊維で構成されるこの木の使用が、歯垢を防ぎ、歯茎の健康を保つのに非常に効果があることが分かっています。また、1991年に行われた調査では、サウジアラビアの2つの都市メッカとジェッダにおいて、サルバドル・ペルシカの使用と、地域の歯周病の状態を示す指標との関連性が目にされました。その結果、調査の対象となった社会では、歯周病の治療のニーズがその他の社会よりも低く、サルバドル・ペルシカを使用することと、歯周病の治療のニーズが低いことの間に密接な関連性があることが判明しています。

さらに、2003年に実施された調査では、口の中を清潔に保つ目的で、1日に5回サルバドル・ペルシカを使用する人は、普通の歯ブラシを使用している人に比べて虫歯が少ないことが強調されています。

サルバドル・ペルシカ

 

それでは、ここからは、デンタルクリーニングを目的とした爪楊枝の使用についてお話することにいたしましょう。

人類が、口の中の衛生を維持するために使った最も古い道具は、おそらく爪楊枝ではないかと思われます。紀元前2500年のものとされるバビロニアの手書きの書物にも、歯の掃除のために爪楊枝が使用されていたことが記され、次のように述べられています。「爪楊枝とは、ある特殊な樹木から作られ、歯と歯の間に差し込んでそこに溜まったものを取り出す道具である」

イスラムの預言者ムハンマドも、爪楊枝で口の中を掃除するよう、たびたび強調しており、その理由として、イマームアリーに次のように述べています。

“アリーよ、爪楊枝で歯と歯の間の汚れを取り除くことで、あなたは神の天使たちに愛されるべき存在となる。それは、神の天使たちが、食事の後に爪楊枝で歯の汚れを取り除かない人の口の匂いを嫌うからである” 

預言者はまた、別の伝承において次のように述べています。

“爪楊枝で歯の間の汚れを取り除くことのはよいことである。このことは、自らを清める行いであり、明日の信仰心を示すものである。信仰心は、その持ち主とともに天国に入る”

 

シーア派5代目イマーム・ムハンマド・バーゲルに関する伝承には、次のように述べられています。

「ムハンマド・バーゲルは、礼拝前に体を清める際に、歯と歯の間に残った食物の食べかすを取り除き、”歯と歯の間に残った食べかすは、口臭や歯が黄ばむ原因となり、さらには膝の関節をも弱めると言っていた」

今日、爪楊枝はタンニンやそれに類似した物質の化合物を含むものであってはならないとされています。それは、タンニンが歯茎を刺激し、歯茎の腫れにつながるからです。たとえば、イチジクの木にはタンニンが大量に含まれており、爪楊枝には全く適さないとされています。

もっとも、アシの茎やザクロの木など、一部の木材を使っての歯のクリーニングがよくないとされている理由は、おそらくこれらの木材が非常に硬い性質であることから、歯茎をいためるとともに、歯と歯の間の部分が磨り減ると考えられているためだと思われます。複数の研究調査から、虫歯を初めとする口の中の病気の多くが、歯と歯の間から発生していることがわかっています。

シーア派8代目イマーム・レザーは、次のように述べています。

“ザクロの枝やメボウキの茎で歯の手入れをしてはならない。また、預言者は決して、ナツメヤシの木やアシの茎を歯の手入れに使ったことはなかった” 

また、シーア派6代目イマーム・サーデグは、次のように語ったとされています。

“アシの茎で歯の手入れをしてはならない。だが、もしどうしようもなければ、アシの茎の皮をむいて使用するがよい”

 次回もどうぞ、お楽しみに。

 

 

 

 

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