2018年 5月 4日(中村・山口)
中:ノウルーズ明けから、雨が多く、肌寒い日が続いたのですが、これから5月にかけて、初夏が本格的に始まるようです。
中:ノウルーズ明けから、雨が多く、肌寒い日が続いたのですが、これから5月にかけて、初夏が本格的に始まるようです。天気予報サイトを見ると、5月の中旬から最高気温が30度前後まで上がるとありました。先日、公園を散歩していましたら、もうすでに、桑の実が真っ黒に色づいており、木に登って取っている人がいました。桑の実は夏の真っ盛りに出るものと思っておりましたから、もうかなり気温が上がっているのでしょう。さて、夏と言えば、スイカです。一応年中見ることのできるスイカですが、これからが旬と言うことで、先日試しに買って食べてみました。やはり、真夏の味には及ばず、これからおいしくなるのを待った方が良さそうです。今は、熟していない、青いアーモンドやアンズの季節ですね。
●リスナーより 奈良県生駒市 井上國晴さん
国民性などと言いますが、イラン人の国民気質って一言で言うとどんな感じになるんでしょうか。
●ラジオより
中:山口アナ、イラン人を一言で言うと、何になると思いますか。
山:うーん、イラン人といっても雑多な民族が混ざっていますし、国土が広いですからそれぞれ地方色豊かで、独自性を持っています。宗教も確かに無視できないのですが、よく注意してみるとやはり千差万別ですよね。ですが、そのような中であえて一くくりにして表現するなら、人情にあふれた国民、ということになるでしょうか。十人十色といわれますけれど、その中で共通性を探すとなれば、人間味にあふれた情愛、人情を私は感じるのですが、中村さんはいかがでしょう?
中:私はテヘラン以外の場所をよく知らないのですが、イラン人というと、世話好きで人なつっこく、子供好き、という温かい人が多いですね。困っている人がいると、知らない人でも気軽に声をかけてくれますし、小さい子供がいたらみんなで相手をしてくれます。日本人からすると、距離が近すぎると感じることもありますが、慣れてしまうと、とても心地よいものです。雨の降る日に子供連れで雨に濡れたりしていたら、たいていそこまで送ってあげましょうという車が現れます。もちろん、タクシー代をとったりするのではなく、純粋に親切心から、子供が雨に濡れてかわいそうだから、という人が多いですね。まあ、だんだん、都市化と共にこういったことも、しにくくなってはいるようですけれど。残念なことです。
●リスナーより
私自身は過去罹患したことがないのですが、周りにも花粉症に悩まされる人が増えてきました。シーズンもので、春先に苦しむ人が多いようです。原因の多くは、杉や檜の花粉とも言われていますが、イランでの樹木管理はどうなっているのでしょうか。日本の林野庁のような監督部局はあるのでしょうか。機会がありましたらご紹介いただければ幸いです。
●ラジオより
中:花粉症は、イランでもかかる人が多いですよね。春先に悩まされる人をよく見ます。こちらの花粉症も、スギなどの常緑樹の花粉であるようです。特に最近は、街路樹や公園の木に、常緑樹が植えられることが多く、そこから花粉が飛んでくるようです。花粉症にかかってしまうと、抗ヒスタミン剤などに頼るしかないのですが、イランで民間療法などありますか?
山:花粉症についてはちょっと分からないのですが、実は私の知り合いに、薬草などを調合して、いろいろな自然薬品を作れる女性がいます。ついこの間も、顔のしみやそばかすを、段階的にではありますが除去してくれるという調合薬品をくれました。ほかにもその女性は、胃腸の強化や不眠症に効く天然薬品を作っているそうで、色々な書籍から情報を得ているそうです。それから、イランで見たことのある民間療法として、吸いだま療法とも呼ばれるカッピングセラピーがあります。調べてみますと、これは本来、古代エジプトや古代の中国で行われていた伝統療法だそうで、血行障害など色々な症状にきくそうです。さらに、民間療法といえるのかどうか分かりませんが、ハチに刺されたときにはヨーグルトや、歯磨き粉を塗るとよい、というものも聞いたことがあります。
中:花粉症の元となる常緑樹ですが、テヘラン市内では、樹木の管理はテヘラン市役所がやっています。都市化に伴い、緑が破壊されないように、公園や緑地帯の樹にはそれぞれ、固有の番号がつけられ、勝手に切られたりすることのないようにしているそうです。また、個人の庭にある木もそういった管理の対象になっており、特に建物の建て替えなどの時、勝手に切ることはできず、特別な許可をもらう必要があります。木がたくさん生えているところを買って宅地にするような場合は、木を切ると罰金を払わなければならないので、頭が痛いようです。イラン全体で樹木や自然環境の保護に関わっているのは、イラン環境保護局でしょうか。
山;そうですね。イランの女性副大統領でもあるマアスーメ・エブテカール長官をトップに、イラン国内の環境保護活動に携わっている政府系機関だと聞いています。そういえば、ついこの間までシリーズでお届けしていました、毎週水曜の制作番組「イランの希少動物、希少植物」の中で、イランでも絶滅の危機に瀕している動植物の保護活動、乱獲や密猟の取締りなどを行っている、という内容が放送されていたと思いますが、まさにこうした活動を担っているのがイラン環境保護局なわけですよね。それから、日本のJICA国際協力機構も協力している北西部のオルミーエ湖の再生事業も行っているそうです。身近なところを見渡しても、特にテヘラン市内をはじめ、その近郊で森林を開発しての宅地造成が進んでいるところをよく見かけますが、人間の生活に自然は欠かせませんし、国連が提唱する「持続可能な発展」のためにも、自然と共存した上での開発・発展に、今後イラン環境保護局が果たす役割はますます大きくなると思われます。
●リスナーより
図書賞で大統領が授与って、すごいですね。ホント言えば、最近は本自体を買うこともなくなりましたが、大学生のころはよく買っていました。特に、大学で教える側の教授などは自分の授業で、自分が書いた本を教科書にすることがよくあったのですが、イランの大学ではどうでしょうか。
●ラジオより
中:私が教えている大学では、日本で発行された外国人向けの日本語の教科書を使うことが多いです。やはり教科書を自作するのは、特に初級においては、大変な手間がかかるので、市販のものを利用しています。ですが、中級から上級にかけては、市販の教科書以外にもプリントを自作したり、実際のニュースや読み物を読ませることもあります。娘は大学で生物学を勉強していますが、その教科書も、先生が自分で作ったプリントを冊子の形にしたものや、自分が出版した本、また、生物学の基本を学ぶ人はだれでも読んでいるという専門書を原書、つまり英語で読まされることもあるようです。どういった教科書を使うかは先生に任されているそうです。
ところで、山口さんはイランで本を買って読むことはありますか。
山:はい、それほどたくさんではないのですが、イランの書籍は時々買って読んでいます。実は、今私が読んでいるのは、『女性の人生の最盛期、40代以降』というタイトルの書籍でして、2人のイラン人の共著によるものなのですが、なかなか面白いことが書いてありますね。この本によると、「確かに、女性は40代を節目に、心身ともに大きく変化していくが、それは節目であって人生の盛りを過ぎるということではなく、変化に対応するとともに、これまでの経験を生かして色々な意味でさらにステップアップを図るための段階である。女性が輝くのに年齢は関係なく、むしろこれからが本番」といったことが書かれています。この本から、改めて色んなことを学ばせてもらっています。
中:日本の本はどうなさっていますか。
山:やはり、日本に帰国したときに、自分で書店に足を運んで読みたい書籍を厳選して購入して持ってくるのが主流ですね。イランでしばらく生活していると、自然と自分のニーズがだんだんはっきりしてきて、今度日本に行ったらこういう本がほしい、という希望が出てきます。確かに、現代のこのネットの時代ですから、情報の入手に事欠くことはそれほどないかもしれませんが、やはり紙版の書籍でじっくり読んでみたくなる場合も出てきます。ちなみに、最近ネットで知ったのですが、外国人用の日本語能力試験ではなく、日本人のネイティブ用の日本語の検定試験があることを知りました。仕事柄、母語である日本語の運用能力のレベルアップは欠かせませんし、今度一時帰国しましたら、この検定試験の問題集や参考書を買ってきて改めて勉強しなおしたいと思っています。
中:さて、ノウルーズも、はや1ヶ月半が過ぎました。イランのノウルーズでは、日本と同様に、子供たちにお年玉をあげる習慣があります。たいていは子供たちにあげるのですが、中には親にあげている人もいるそうです。さて、お年玉はほとんどが現金ですが、このお年玉について「お年玉を入れるポチ袋はあるのですか。」というご質問をいただいています。山口さんはお年玉はどうやってあげていますか。
山:折り紙で、鶴のポチ袋を作って渡したら、大変喜ばれました。日本の文化紹介にもなりますし。また、夫の親戚に現金とは別に、折り紙で薬玉や土瓶しきを折ってプレゼントし、子供さんにはぴょんぴょん跳ねる蛙や、カライドサイクルを作って渡したところ、大好評でした。お金だけでなく、手作りのこういうちょっとしたものでも、こちらでは大変喜ばれています。
中:カライドサイクルというのは、紙の面の組み合わせで新しい絵が出てくるものですね。カレイドスコープ、万華鏡の平面体ですね。私は、ポチ袋をダウンロードして、印刷して、作っています。日本らしいデザインのものはとても珍しがられます。こちらは、現金は裸で渡してもかまわないようですが、やはりかわいいポチ袋は日本らしさが出ていますね。そういえば今年同じマンションのご近所さんから子供たちがお年玉をもらったのですが、ノウルーズのハフト・スィーンが描かれたカードの中にお金が入れられていました。親戚ではないからちょっと格式張ってみたのでしょうね。なかなかおしゃれでした。