コーラン第97章アル・ガドル章みいつ
今回は、コーラン第97章アル・ガドル章みいつについてお話しましょう。
慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において
アル・ガドル章はメッカで下され、全部で5節あります。それでは、アル・ガドル章の朗誦をお聞きいただきましょう。
アル・ガドル章は、さまざまな内容を述べたコーランの別の章とは異なり、ひとつのこと、つまり、聖典コーランがガドルの夜に下されたことについて語っています。その後、ガドルの夜とその影響や恩恵の重要性が述べられています。
アル・ガドル章の最初の節は、天啓の書であるコーランに触れています。神はコーランを下したのは自分だとし、次のように語っています。
「我々はそれ[コーラン]をガドルの夜に下した」
アル・ガドル章は、イスラム暦ラマザーン月のガドルの夜にコーランを下したことについて述べ、その夜を、1000の月にも優るとしています。コーランの節によれば、この書物は、一度に下されることもあれば、段階的に下されることもありました。前者の場合、コーランは一度に預言者に下され、それがガドルの夜のことでした。後者の段階的な場合には、コーランの言葉や単語、そのすべての詳細が少しずつ、さまざまな折に預言者に下されました。それは全部で23年かかりました。
聖典コーランは、神の大きな奇跡、幸福な人生のための最も優れた指導書であり、多くの知識を伴ったもので、もし世界の人々がその考えに従えば、偉大さ、誇り、繁栄を手にすることになります。
アル・ガドル章は、コーランが下された夜を、ガドルの夜と呼んでいます。ガドルには、運命や定めといった意味があります。そのため、ガドルの夜は、定めの夜と呼ばれています。至高なる神は、その夜、一年分の出来事、つまりその夜から翌年の同じ夜までの出来事を定め、生、死、華やかさ、幸福、不幸、その他の事柄を運命付けています。
ガドルの夜の価値については、1000の月にも優るものだと言われています。言い伝えでは、ガドルの夜の行動や礼拝は、ガドルの夜ではない1000の月の行動にも優るとされています。
アル・ガドル章は、敬虔な人々に、その夜の神への服従と礼拝を呼びかけるとともに、イスラム共同体のために、一夜にして、人間の一生に値する1000の月の礼拝の効果と報奨にいたることのできるような機会を与えるという、神の特別な恩恵に言及しています。イスラムの預言者ムハンマドは次のように語っています。
「神は私の共同体にガドルの夜を与えた。以前の共同体は、このような恩恵にさずかっていなかった」
ガドルの夜、天と大地の間につながりができ、天の扉が大地に向かって開かれます。その夜、天使が地上に降り立ち、大地に光の雨を降らせ、敬虔な人々に挨拶をします。この夜の恩恵を受け取る心の準備ができればできたほど、その偉大さをよりよく理解することができます。アル・ガドル章によれば、その夜は朝まで慈悲と平安に包まれます。その夜、神の慈悲は、神に祈りを捧げる全ての僕たちに注がれます。その夜、寛容な神の慈悲の扉が、僕たちの前に開かれているのです。