6月 28, 2018 17:50 Asia/Tokyo

この時間は、フランスのアヌシーで開催された国際アニメーション映画祭と、メディアにおける女性の描かれた方への批判の拡大についてお話ししましょう。

フランスのアヌシーでは、世界で最も有名なアニメーション映画祭が開催されます。今年は6月11日から16日まで開催されました。このアニメーション映画祭には、イランから4つの作品が参加しました。外国長編作品の部門には、2013年、古代のペルシャ文学の傑作であるフェルドウスィーのシャーナーメをもとに作られた、アシュカーン・ラフゴザル監督の「最後の物語」が参加しています。

 

また、短編作品の部門には、モジュタバー・ムーサヴィー監督の「ギャヴァズン氏」、ホセインモラーイェミー監督の「走れ、ロスタム」、テレビドラマの部門では、バーバクネクーイーとベフヌードネクーイーの作品、「宇宙からの旅人」が出品されました。

 

「最後の物語」は、偉大なペルシャ詩人、フェルドウスィーの傑作、シャーナーメの一部をもとにした作品で、正義と悪の世界的な戦いを描いた古代の伝説に基づいています。この作品の制作会社は、2017年のテヘランアニメーション会議の主催者でした。アヌシー国際アニメーション映画祭の関係者の一人である、マーセルジャン氏は、この映画について次のように語っています。

 

「最後の物語はイランの傑作である。私たちを、正義と悪が戦う伝説の世界に引き込むようなシーンに溢れている」

最後の物語

 

 

この映画祭のマーケット部門でも、ハーディ・モハンマディヤーン監督の「ザ・エレファント・キング」が上映されました。

 

アニメ作品とともに、この分野の活動家が2年連続でアヌシーに集まり、多様な世界の受け入れ方について議論を交わしました。アニメーションにおける女性財団も、そうした参加者のひとつです。

 

この財団は、「アニメーションにおける女性の国際会議」を開催しました。この会議では、アニメーションの世界への女性の参加に関する重要な問題が取り上げられました。そのうちのひとつは、次世代の女性の映画監督の見解です。女性の映画製作の未来に関して議論が行われ、参加者は、伝統的な考え方と内容の変化、性やアイデンティティといった問題に関して意見を交わしました。

 

映画制作会社の責任者で、映画監督でもあるマーク・アイゾバーン氏は、この会議に出席し、次のように語りました。

 

「表に出るところでも、出ないところでも、差別は存在する、我々は皆、2025年までに平等を実現できるように協力すべきである。皆で女性を支援するようになったとき、変化がみられるようになるだろう。共に仕事場で、より安全に、高い独創性をもって作業をし、すばらしい作品を作ることができる」

 

アニメーションにおける女性の国際会議の開催を機に、アニメーション作品への女性の参加に対する批判が広がっている理由について見ていきましょう。

 

新たな通信技術やメディアは、現代の重要な特徴のひとつで、現代の人間の生活の様々な側面に影響を及ぼしています。それは、イメージを広げたり、文化を築いたり、さまざまな思想を広げ、現代の世界に力を作り出すための手段になっていると言えるでしょう。

 

新たなメディアで性別がはっきりと示されていることは、一つの社会における女性の姿を描く上で、重要な役割を果たしています。この中で、アニメーションは、独立したメディアとして、またメディアが持つ手段として、そのようなイメージを描く上で重要になっています。

 

例えば、日本のアニメ制作会社、スタジオジブリの作品における女性の描かれ方、あるいはその時代の出来事や政策に基づいて人物が描かれるディズニー作品などを挙げることができます。また、女性をテーマに扱った作品も数多く存在します。アニメーション作品は、テレビやインターネットサイトで、多くの人に視聴され、社会に深い影響を及ぼします。

 

メディアの専門家は、これに関して、いくつかの重要な疑問に回答する必要があると語っています。第一の疑問とは、新たなメディアで、アニメーションによって作り出されている女性のモデルと社会の文化との関係はどのようなものか、ということです。これらのモデルは、社会の文化から取り入れられたものでしょうか、それとも、新たな文化の流れを作り出すものなのでしょうか。第二の疑問とは、アニメーションにおける女性の描かれ方です。テレビが普及した時代から、デジタルメディアの時代に至るまで、それはどのような変化を遂げたのでしょうか。そしてその変化は、どのようにして起こったのでしょうか。

 

 

さまざまな研究が示しているのは、性的な差別を広める上で、最も影響を及ぼしているのは、ハリウッドです。ハリウッドは大きな市場を有するため、そのような見方を世界中の人々の間に広めています。これは、調査によって完全に認められています。

 

ハリウッドの映画に関する研究が行われた結果、興味深い事実が明らかになりました。例えば、男女の俳優による台詞の量を比べると、女性の方が少なくなっています。また、台詞の量は、女優や俳優の年齢にも関係しています。

 

女優に与えられる台詞の量を年齢別に見ると、完全に男性の俳優とは異なっています。男性俳優は65歳以上でも、多くの台詞が与えられ、重要な役を任されます。しかし、女優になると、40歳以上になればほとんど重要な役は与えられません。このことは、女性の性的な魅力と無関係ではありません。22歳と31歳の女優と男優に与えられる台詞はほぼ同じレベルであるのに対し、42歳から65歳の男優に与えられる台詞の量は、同じ年代の女優に比べて5倍になっています。

 

この研究により、アニメを含む映画やテレビ、演劇に、このことが当てはまることが分かっています。重要なのは、映画で台詞のある登場人物の30%が女性であるのに対し、テレビではそれが42%になります。また、さらに、映画でもテレビでも、登場人物の人種の割合は、74%が白人で、黒人の女性の割合は、15%に過ぎません。アジア人や中南米の出身者になると、わずか4 %です。

 

数年前から、映画やテレビ、アニメーション作品における、性差別に抗議する運動が行われています。その例として、2015年に公開されたアメリカの3Dコンピュータアニメーション映画、ミニオンズへの抗議を挙げることができます。この映画は人気を集めましたが、登場するキャラクターがすべて男性であることが議論になりました。とはいえ、ミニオンズのキャラクターが皆、男性であるか女性であるかは明らかではありません。しかし、男性の声が使われていることから、すべてのキャラクターは男性であると考えられています。

 

 

これにより、この映画は性差別だという抗議の声が上がりました。抗議者は、すべての良い役のキャラクターが男性であるアニメは前例がないとしています。しかし、ミニオンズでは、スカーレット・オーバーキルという悪党のみが、女性になっています。

 

ミニオンズのピエールコフィン監督は、この抗議に対し、問題をはぐらかそうと努め、批判を別の問題に誘導しようとしました。コフィン監督は、「ミニオンズはときに愚かなこともする。私はただ、それが女性であることを想像できなかった」と語っています。

 

これらの議論にも拘わらず、専門家や研究者は、アニメや映画の作品における女性の役割を決定するのは、映画制作会社だとしています。ハリウッドの幹部は男性で占められており、彼らは、女性が直面する事実に即した映画の制作に抵抗しているとも言われています。アイルランドの俳優、リチャード・ハリス氏は、次のように語っています。

 

「本当の変化は、映画制作会社の幹部の女性の数が増え、彼女たちが女性が直面する現実に注目するよう、他の人々を説得できたときに起こるだろう」

 

 

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