イランのトルクメン人の大衆文学
これまでは、トルクメン人とのその風俗習慣についてお話しました。今回はこの続きです。
トルクメン人の大衆文学は、文字に書き記した記載文学と人の口から語り継がれてきた口承文学の二つに分けられます。イランやトルクメニスタンに住むトルクメン人の記載文学は、およそ500年前から始まりました。18世紀や19世紀には様々な詩人が生まれ、多くの美しい作品を残しています。
トルクメン人の詩人の中で、マクトゥームゴリー・ファラーギーは名高く、その作品と名前は神聖視されています。彼の詩は、宗教的な信条からインスピレーションを受け、その詩集は、人間性や道徳、宗教の偉人の偉大さをうたっています。
トルクメン人の口承文学もまた、豊かなものとなっており、近隣の文化や文明に多くの影響を残しました。トルクメン人の口承文学の中で最も重要なジャンルには、物語、伝説、民謡、格言、なぞなぞ、子供たちの遊びなどがあります。
トルクメン人の物語では、アーゼリー語の物語のように、英雄物語の対話や会話が詩の形で語られ、物語のナレーターは、文語体で語ります。物語の多くが様々な時代の社会情勢や道徳的な教えを語ったものとなっており、歌やメロディーが伴われ、多くが冬の夜に家族が集まったところで語られます。
トルクメンの伝説では、人生、勇者、社会的に抑圧された人々の闘争について語られています。伝説の中で、トルクメンの勇者は、理不尽な為政者の手から自らの民族を救い出したいと考えています。勇者たちは様々な問題に直面し、多くの場所で民族の平穏と幸福を妨げているものを取り除きます。トルクメンの伝説は多くが口頭で伝えられてきたものです。伝説の中に出てくる動物は、特別な地位にあり、ときにそれらが勇者の役割を果たしたりしています。
トルクメン人はさらに、格言を多く持っており、その中には先人の経験、思想、助言などがつまっています。ここで一つ例を挙げてみましょう。
「土地に種をまいたら、それを収穫することになるだろう」
つまり、人が何かをしたら、同じだけの報いが返ってくる、という意味です。
トルクメンの文化における「なぞなぞ」は、この部族の他の文学に比べて、多くが民族の生命に結びついています。例を挙げましょう。
「7匹の羊と1匹の子羊が、人間を91の災いから守る」
これは、7匹の羊の皮を使った上着と1匹の子羊の皮から作った帽子が、91日間の厳しい冬からトルクメン人を守る、ということを意味しています。
トルクメン人の口承文学の最も重要なものに、韻律や詩、民謡を伴った語りがあり、多くがトルクメンの吟遊詩人によって伝えられてきました。これらの民謡は、教育的、道徳的な内容、美しい自然の描写、馬などの動物の描写、愛情や別離、不平・不満などをうたっています。この中で、ラレと呼ばれる民謡が特別な重要性を帯びています。
ラレは、トルクメン人の少女たちによってうたわれ、様々な種類があり、その内容は女性たちの希望や運命についてです。災難や人の死にあったときにうたうアーギーという詩もあります。この他、トルクメンの詩に子供を寝かしつける際に母がうたう子守唄もあります。
子供たちの遊びとそれに関連する文化も、トルクメン人の口承文学、風俗習慣の一部と見なされています。トルクメンの子供の遊びは、遊びである以上に、社会的な学習でもあります。これらは多くが大人によって作られ、心理的な側面を持っています。例えば、トルクメン人の子供の遊びの一つに、10人か20人かの二つのグループに分かれ、一方のグループが身を隠し、もう一方のグループが彼らを探しだすという「かくれんぼ」に似た遊びがあります。この遊びは子供たちを集団行動に奨励すると共に、行動の慎重さや素早さを学ばせるものとなっています。
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