イランの農場;農業ツーリズムの楽園
農業ツーリズムとは、観光客が農産・畜産の現場を訪れ、植え付け・育成・収穫などを実際に体験し、それらの産業について楽しみながら知るという形式の観光分野です。
農場での観光客受け入れ計画は、社会において観光、レジャー、娯楽に関連する産業を活性化させます。
世界は現在、都市生活の発展および都市人口増加にともなう多くの問題を抱えており、都市生活者らは、混雑、騒音、大気汚染などから離れてエネルギーを回復するために訪れることができるような場所をいつでも必要としています。
農場は、緑にあふれる穏やかな環境を持つだけでなく、一般の都市生活者がなかなか経験できないような田舎暮らしや農作業に接することができる場所でもあります。
農場やその関連施設は、動植物をはじめとした自然に触れ、喧騒のない緑に囲まれた生活を楽しむ機会や、そのような環境での娯楽および健康的なレジャーを、都市生活者に提供することができます。
イランは四季のある国であり、数多くの農場で農産物を生産していることから、通年営業の農業ツーリズム用農場を設けることができます。例えば、同国北部にある茶園と果樹園を組み合わせた農場では、観光客を数日間受け入れることが可能です。
イラン北部ゴレスターン州では、これまでに34の農場が農業ツーリズムの認可を受け、直接的に225人の雇用を生み出しました。
同州の観光農園は、様々な種類の樹木・果物を含む農産、競走馬をはじめとした馬の飼育などの畜産、魚の養殖といった業種の体験を提供しているほか、宿泊施設には各種サービスが揃っており、郷土料理を試したりオーガニック製品や手工芸品を購入することもできます。
イラン南部では、サトウキビ、菜種、小麦などを生産する広大な農場の生み出す美しい夢のような光景が、その平穏な静けさと併せて観光客を魅了します。
ケルマーン州の房状に実をつけたナツメヤシの木々は、見学にきた観光客を驚かし、時に高さ15メートル以上にもなる頑強なヤシの木での木登り体験は、高い所に興味がある人に一度は試してみたいと思わせることでしょう。
また、バナナの木を実際に目にしたり、そこから直接実をもぐ体験は、子どもたちにとっては特に魅力的でしょう。
イラン東部では、朝早く起きてサフラン畑へ向かい、新鮮な空気を味わいながら、サフランの収穫を手伝うことができます。この体験は、全ての観光客が何度でもやってみたいと思うものでしょう。
同国のサフラン生産中心地である南ホラーサーン州ガ―エナートは、多数の美しいサフラン畑があることから、外国からも多くの観光客が訪れています。
ホラーサーン・ラザヴィー州トルバテ・ヘイダリーエでは、スペインとポーランドからのツアーが、今年一番最初に外国からの訪れた観光客となりました。
イラン西部には、雨が多く降る平地に緑の牧草地が広がっています。そこでは、子どもたちが羊と戯れ跳ねまわったり、緑の小麦畑に水を撒いたり収穫を体験するなどして、一日中過ごすことができます。
西部の都市のひとつイーラームでは、遊牧民生活の体験が、畜産物や天然食材を使った料理とともに、観光客を惹きつける魅力となっています。
牧草地を訪れて家畜と遊び、手付かずの自然の中で放牧を体験した後、木立の中や草原の上でくつろぎながら食事を楽しむことは、きっと忘れられない思い出となるでしょう。