イラン外相の中南米諸国訪問
イランのザリーフ外務大臣が、21日日曜朝、政治・経済使節団を率い、初めての中南米諸国歴訪を開始しました。
アミーンザーデ解説員
ザリーフ外相の中南米6カ国訪問の目的は、核合意後のこれらの国との政治・経済関係を拡大することと発表されています。1週間に渡るこの訪問には、技術サービスをはじめとするさまざまな部門の民間企業の関係者、商業関係者など、60人以上の経済代表団も同行しています。この訪問は、キューバから始まり、ニカラグア、エクアドル、チリ、ボリビア、ベネズエラと続けられます。
中南米諸国との関係拡大は、イランの政策のひとつです。イランと中南米諸国を近づけている要素のひとつは、革命を経ているという共通の歴史と反覇権主義の立場です。中南米諸国は、多くの民主的な運動の発祥地となってきました。
このような過去に加え、この関係の拡大は、経済的な動機を伴うものでもありました。現在、地理的には離れているものの、一時期、アメリカの裏庭となっていた中南米において、イランは国際社会で活躍し、また平和を愛する文明的で偉大な国と見なされています。中南米の政界の要人や政治活動家の多くが、イランを、中東、特にペルシャ湾岸地域の影響力のある重要な国と捉えています。
イランと中南米諸国は、この30年、基盤のしっかりした関係を拡大しようとしてきました。そのため、政治、経済、文化の分野での関係の拡大が注目されてきました。
こうした中、現在の状況におけるザリーフ外相の中南米訪問は、世界の情勢変化と問題における協力の必要性から重要性を帯びています。イランと中南米は、国連、非同盟諸国、77カ国グループ、その他の重要な国際機関に加盟していることから、国際政治の分野で協力を行うための土台が整っています。非同盟諸国の議長国のイランからベネズエラへの引継ぎ、テロや過激派などの問題における同調の強化、9月の会合までのOPECの石油政策に関するベネズエラとの調整、これらが、今回のザリーフ外相の訪問で議論される事柄です。
この訪問では、それぞれの国の高官との協議の傍らで、民間部門の経済会議の開催も予定されています。これらの問題に注目すると、地理的には離れているものの、イランと中南米諸国は、さまざまな分野で協力を行う下地に恵まれていると言えます。
中南米は6億の人口を擁し、大きな可能性を備えており、世界における政治や経済、また国連での決定のプロセスにおいて、重要な役割を果たしています。イランが追求する目的のひとつは、脅威の排除と、地域や世界の治安問題に関する外交政策での協調の強化です。このような見解から、イランと中南米諸国の協力は、政治や経済、あるいは文化の分野であろうと、双方にとって、良好な機会を整えていると言えます。特に、現在、核合意の実施と制裁の解除により、新たに相応しい雰囲気が生まれています。そのため、今回の訪問をきっかけに、政治、経済、文化の分野で進められる歩みは、共通の利益をもたらすとともに、さらなる協力のための確かな基盤を整えるものとなるでしょう。そしてそれは、イランと中南米諸国の長期的な目的の推進を促すものとなるのです。