本日のトピック;原子力分野での協力拡大を目的とした、イラン原子力庁長官のベルギー訪問
(last modified Tue, 13 Sep 2016 12:34:31 GMT )
9月 13, 2016 21:34 Asia/Tokyo
  • 本日のトピック;原子力分野での協力拡大を目的とした、イラン原子力庁長官のベルギー訪問

イラン原子力庁のサーレヒー長官が、ベルギー及びEUの関係者と会談を行うため、代表団を率いてベルギーの首都ブリュッセルを訪問しています。この問題について、IRIBアミーンザーデ解説員の報告です。

アミーンザーデ解説員

EU本部が置かれているブリュッセルへの、3日間にわたるサーレヒー長官の訪問は、欧州委員会のカニェテ気候行動・エネルギー担当委員の招待により、12日月曜から開始されました。この訪問は、原子力分野での協力に関する協議のための機会を生み出しています。

イランの核活動は6カ国との核合意の成立後、通常通りに実施されています。サーレヒー長官とベルギーの政府関係者との協議も、この方向性で行われています。今回の協議では、イランとEUの協力、そして両国の関係についても話し合いが行われる見通しです。また、今回のベルギー訪問では、イランとベルギーの関係拡大に関する文書への調印が行われると見られています。

サーレヒー長官のベルギー訪問は、6カ国との間での核合意の調印からちょうど1年後という節目に行われています。この期間中に、この合意は様々な側面からある程度試されています。核合意の実施においては、弱点と長所の双方が抱き合わせとなっていますが、核合意をどの角度から見渡しても、この合意が当事者双方に責務を課し、その実行を義務付けているものであることが言えます。イランは、技術面での全ての取り決めや信頼構築に関する措置を実施しています。このことは、数日前に出されたIAEA国際原子力機関の天野事務局長の報告でも、改めて認められました。しかしこの数日、西側の一部の情報筋は、核合意に関する妄想的な主張を提示することで、この合意に反対するプロパガンダを展開しようとしています。それは、イランが核問題において、調印された核合意の枠組みとは別に、イランに核合意のレッドラインを超えることを許可する、秘密裏の合意を締結していた、という内容を吹き込むものです。もっとも、サーレヒー長官はこうした主張を否定しています。

サーレヒー長官は、日本の共同通信のインタビューで、「イランは西側諸国と、核合意とは別個の、秘密裏となる協力や合意を一切行ってしいない」と表明しました。また、これに関する主張は誤った情報に基づくものであるとし、イランは決して核問題に関する秘密裏の協定を有していないと述べています。

核合意は、イランとアメリカのみの2国間協定ではなく、アメリカを初めとする国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国、そしてEUの外務安全保障政策上級代表とイランの間で得られた多国間協定です。このため、核合意の成立後にアメリカで浮上した、主張は、根拠のない発言だといえます。もっとも、こうした主張は、近く予定されているアメリカの大統領選挙での民主・共和党の間での選挙戦におけるアピールのタネでしかなく、根本的に核合意とは何の関係もありません。

サーレヒー長官のベルギー訪問は実際、イランが核エネルギー分野での平和目的の達成のために自らの権利をしっかりと追求し、合意の相手側が果たすべき約束が、根拠のない問題の影響を受けないようにする、という点を監視するものです。明らかに、イランの核合意の発展に関する協力は、機密協定ではないのみならず、相手側も実行を義務付けられている約束事の一部なのです。こうした義務には、イラン産重水の購入、イラン中部アラーク重水施設における新たなプロジェクト開発、多様な消費を伴う原子力産業における調査計画の推進に際してのIAEAとの協力などがあります。サーレヒー長官のベルギー訪問も、こうした枠組みによるものと捉えらえることができるのです。

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