一日一冊、本の紹介(9)
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一部の映画評論家は、ドキュメンタリー映画を、映画のさまざまなジャンルの中でも、最も自由で人間的なものだと考えています。
(last modified 2025-08-16T09:55:59+00:00 )
12月 04, 2016 18:27 Asia/Tokyo
  • 一日一冊、本の紹介(9)

一部の映画評論家は、ドキュメンタリー映画を、映画のさまざまなジャンルの中でも、最も自由で人間的なものだと考えています。

ドキュメンタリー映画の主な目的は、人生における問題を取り上げ、人類の文明や社会、歴史、文化に対する視聴者の知識を向上させると共に、時には人生におけるさまざまな苦難を乗り越え、状況に対処するための知識を与えることとなっています。

イランのドキュメンタリー映画監督のアフマド・ザーベティー・ジャフルミーは、ドキュメンタリー映画は教訓に溢れているとし、時に、百科事典のような役目を果たすとしています。彼は、論文の中で次のように記しています。「ドキュメンタリー作家の責務のひとつは、人々に自然遺産の知識を与えることである。なぜならこの遺産を失ってしまえば、それを償うことは不可能だからだ。生物やその保護に関する知識を与えることは、ドキュメンタリー作家の主な仕事である」

恐らくそのために、彼の作品の多くが、この分野を扱ったものになっているのでしょう。

「映画の30年」という本は、この作家が、1976年から2007年までの間に、映画に関して編集したり、翻訳したりした論文の多くをまとめたものです。この本を読めば、音声や映像の組み立て、ドキュメンタリー映画の批評や歴史論など、映画という芸術に関するいくつかの基本について理解することができます。

「映画の30年」という本は、テーマとそれがまとめられた歴史に基づいて各章に分けられており、映画研究における2つの特別な部分を含んでいます。その最初の部分は、ロシアの映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインの映画、映画の批評であり、二つ目の部分は、映画に関する科学的な内容、映画の音声、美学や技術に関する内容を含んでいます。

「フェルドウスィーの王書、1000年の映画」は、この本の章のひとつであり、その中では、「多くの国の映画の成長は、古典文学にかかっている」とされています。作者は、ペルシャ文学も、イランの映画にインスピレーションを与えることができるとしています。

アフマド・ザーベティー・ジャフルミーは、芸術学の博士号を取得し、現在、芸術大学で映画について教えています。彼はこれまで、イランの芸術、映画、音楽、ドキュメンタリー映画に関する数々の研究を行ってきました。その多くは書籍として出版、あるいは翻訳されています。

「映画の30年」という本は、全部で584ページあり、この研究者が記した映画に関する研究書となっています。