核合意維持に向けたヨーロッパの努力
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イランのザリーフ外務大臣とモゲリーニ上級代表
イランのザリーフ外務大臣が、「核合意を守るため、調和の取れた行動を起こす必要性について、国際社会の見解の一致が存在する」と語りました。
ASEAN東南アジア諸国連合の外相会合に出席していたザリーフ外相は、シンガポール訪問から戻り、EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表と会談したことに触れ、「双方はこの会談で、核合意によってイランの人々が利益を得るのを確実にするために、EUとその他の国の措置の詳細について検討した」と述べました。
モゲリーニ上級代表は、シンガポールの南洋理工大学での演説で、次のように強調しました。
「イランとの合法的な貿易を続けていくため、世界中の国際的なパートナーとの協力を続ける。核合意が集団的安全保障、そしてEUの安全保障にとって有益だからだ」
モゲリーニ上級代表はまた、国際的な合意は調印されたときから、全面的に尊重されるべきものだとみなされるとしました。
この発言は、ヨーロッパにとって核合意を守ることが重要だということを示しています。核合意の維持は、核協議と合意締結のプロセスにおける、ヨーロッパの政治的信用を守るためのものなのです。
現在、ヨーロッパの大国は、その外交戦略により、アメリカの核合意離脱による問題が成功裏に克服できるよう希望しています。たしかにこれは難しいことかもしれません。モゲリーニ上級代表は、「アメリカはヨーロッパに対して、経済的に強力な手段に訴えているものの、核合意を守る上でのヨーロッパの意志は、注目に値するものだ」としています。これに関して、ドイツのガブリエル元外務大臣は、次のように語っています。
「我々は核合意が破壊される要因となる決定から、核合意を守りたいと考えている。なぜなら、核合意の破棄は、世界の他の国々に大変危険なメッセージを伝えることになるからだ」
ヨーロッパは、核合意の代わりになるものがないことをよく知っています。経済面でも、ヨーロッパ諸国はイランとの貿易関係を確立することで、大きな利益が得られるというべきでしょう。
ヨーロッパはまた、イランとの核合意を続ける上で、困難な道に立たされています。しかし、あらゆる困難の中で、アメリカの圧力に抵抗する価値があることも知っています。こうした中で、イランが期待しているプロセスとは、際限のないものではなく、終わりまで続けられるべきだ、というべきでしょう。このため、このプロセスにおいて、2つの点が重要なのです。
1:ヨーロッパがアメリカの核合意違反に対して明確な保障を提供すること
2:時間に注目すること。協議の期間と取り決め実施の期限なども含まれる
現在、イランの経済部門は協議の結果待ちの状態になっています、このような状況の中で、モゲリーニ上級代表の発言は2面的だといえます。1面では、ヨーロッパがイランとの協力を継続しようとしていることですが、もう一方では、ヨーロッパがアメリカに追従する可能性があり、その結果、イランとの協力における時間と機会を浪費することになります。後者の選択肢は、決してヨーロッパの利益にはならないでしょう。