イランとアメリカ
視点:イラン外相による米大統領発言への反応 「米以外の核合意当事国はこれまで一度も協議の席を離れていない」
-
ザリーフ外相
イランのザリーフ外相はツイッター上で、イランとの協議を暗示するトランプ米大統領の最新の発言に反応し、同大統領に向かって、「我々は、あなたの部下の工作にもかかわらず、両国間の受刑者交換という1つの人道的な交換を成立させた。だが、あなたが大統領職に就いたとき、一つの合意が存在した」と語りました。
ザリーフ外相は、「わが国およびその他の核合意署名国は一度も協議の席を離れていない。あなたの補佐官、しかもその多くをあなたはこれまでに解任しているが、彼らは愚鈍な賭け事をやっていた。いつ決断し、この問題を修正するかは、ひとえにあなた自身にかかっている」と反論しました。
トランプ大統領はツイッター上で、イラン当局に拘束されていた米国人マイケル・ホワイト氏の釈放に関してイランに謝意を表明するとともに、イラン政府関係者に対し「大きな合意に達するのに、米大統領選後まで待つことはない」と述べました。
トランプ大統領は、自らの就任以来一部の地域諸国に関してとり続けてきた専横な対応が、イランに対しても有効だと思い込んでいるようです。もっともそれとは裏腹に、米国はその行動によって恥を上塗りし、世界で孤立しています。最近、米国内で白人警官により一黒人市民が無慈悲に殺害された事件に対し、米市民が現在スローガンとしている「我々は息ができない」という言葉はまさに、この現実を物語っています。
今日、医療行政分野での管理能力不足による新型コロナウイルス拡散から生じた問題、並びに市民の大規模な抗議行動、その他の一連の国内問題という泥沼で身動きが取れない状態のトランプ大統領にとって、他国に過剰な要求をして口を封じるなどの暴漢まがいの政策がとれる時代はもはや終焉を迎えています。米国が誤った政策を止めるまではこの泥沼から這い出すこと派不可能、という現実がこれまで以上に鮮明になっているのです。
米国の真の思惑が協議ではなく、侵略的な本質を伴った政策にあることは言うまでもありません。協議や合意など、ある種の提案を掲げたツイートは、実際にはトランプ大統領と彼の補佐官らの錯乱した意識の中で捏造され、脅迫と協議という矛盾をはらんだ誤りに起因しています。トランプ大統領の最近のツイートにおいても、こうしたアプローチは濃厚に見て取れます。そこでは世論に対し、米国がイランを協議の場に引きずり出せるという概念を吹聴しようとしていることが透けて見えるのです。
シャムハーニー・イラン国家安全保障最高評議会書記は5日金曜、ツイッター上で、「トランプ大統領の現状は国際的な対立、新型コロナウイルス制御における大失態、国内での人種差別主義の扇動、そのどれひとつ取っても暗澹たるものである。彼の率いるチームは偽の成功を捏造して見せる以外、打つ手がなくなっている」と述べました。
イランが米国との協議実現に応じない理由に関しては、イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が様々な折に行なってきた演説が明快な回答を与えています。
ハーメネイー師は、昨年9月の演説の中で、米国が言うところの協議の目的が公正な解決策の模索にあるのではなく、自らの専横な要求の押し付けにあるとして、次のように述べました。
「米政府の政策は、様々な制裁や脅迫、様々な大言壮語という形を取ったイランへ最大限の圧力行使に他ならない。それは、米現政権がいわゆる深謀遠慮や外交儀礼ではイランを屈服させられず、懐柔に持ち込めないと考えているからである。まさにこのために、大統領や外相、その他の幹部らを初めイランの政府責任者は、口をそろえて二者であれ多国間であれ対米交渉に応じない、と断言している」
イランとの協議を持ち出したトランプ大統領の発言、それに対する反応としてのザリーフ外相のツイートは、まさにこの点を想起させるものといえるのです。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://urmedium.com/c/japaneseradio
https://twitter.com/parstodayj