中国の水産物輸入停止が加工食品にも影響、処理水放出後1か月で
福島原発処理水の海洋放出を受けた、中国による日本製水産物の輸入停止措置が、水産物のみならず加工食品の輸出にまで影響していることが明らかになりました。
NHKが25日月曜、報じたところによりますと、福島第一原発にたまる処理水の放出が始まってから24日日曜で1か月となった中、日本の水産物の最大の輸出先となっている中国が輸入を全面的に停止した影響は水産物そのものにとどまらず、原材料に水産物が使われている食品の輸出にまで及んでいます。
札幌市西区の食品メーカーは、鍋用のつゆと、だしなどを中国に輸出していましたが、8月25日に貿易業者から、原材料に国産のかつお節やかきのエキスを使用した食品は輸出できないと伝えられました。
このメーカーの社長は「水産物がエキスとして入っている商品まで輸出できなくなり大変驚いている。輸入停止の問題が早く落ち着いて元どおりになってほしい」とコメントしました。
また、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止していることで水産業への影響も続いています。
今回の中国の輸入停止措置によって引き続き大きな影響を受けているのは、中国に鮮魚や冷凍の魚などを輸出していた愛媛県の水産業者です。
このうち、同県宇和島市の水産会社ではシマアジやマグロなど、中国向けは輸出全体の1割ほどを占めていましたが、先月下旬以降、中国への出荷が完全に止まっています。
この会社では、中国以外の販路を確保する必要があるとして、ヨーロッパなどへのPR活動に力を入れていく方針です。
ただ、こうした動きは国内のほかの産地でも出ているため、県には「競合して出荷できないケースがある」といった相談も寄せられているということで、代替となる販路の開拓が課題になっています。
中国では処理水の放出計画を受けて、去る7月以降、各地の税関当局が輸入規制を強化したほか、放出が始まった先月24日からは日本産の水産物の輸入を全面的に停止しました。