シリア情勢
視点;10年目に突入したシリア内戦
-
シリア政府軍と多国籍テロリストとの戦争
シリア政府軍と多国籍テロリストとの戦争は、16日日曜で10年目に突入しました。
シリアでの反政府抗議行動は2011年3月15日、周辺アラブ諸国の情勢変化を受けて始まりました。シリアと他のアラブ諸国との変動で最も重要な相違は、シリアでの抗議行動が西側諸国/アラブ諸国/シオニスト/トルコの介入により、同国の体制とテロ勢力との戦争に変化したことです。そのため、シリアの情勢変化は国内での抗議行動という性質からは遠く、80カ国以上の国のメンバーで構成される各種勢力による暴力へと発展しました。その結果、他のアラブ諸国とは異なり、シリアでは現体制と国民が対立するのではなく、他国から資金援助されてシリア合法政権に歯向かう人々との戦闘状態に突入したのです。
シリアの人権監視団体は、シリア内戦の犠牲者数に関する最新の統計を引いて、過去9年間にシリアでは少なくとも38万4千人が殺害され、数十万人が負傷、およそ1200万人が難民となっていると発表しました。
このテロ戦争の目的は、シリア現政権の転覆、さらにはその解体でした。しかし実際にはこうした目標は達成されませんでした。 シリア国民は、民主主義や人権擁護を標ぼうする国や勢力の全面的な支持を受けたこの戦争の最大の犠牲者です。 ペデルセン国連シリア問題担当特使はこの問題について、「シリアの人々がこの悲痛な恐ろしい10年間に耐えてきた苦しみは、理解と想像を超えるものだ」と述べました。
UNICEF国連児童基金も最近、シリア内戦が丸9年経過したことを告げる報告書の中で、「シリアでの戦争の結果は、10時間に一人のシリア人の子どもが命を落としているということだ」と記しています。 今月9日に発表されたユニセフの統計では、2014~19年末にシリアで戦争で亡くなった子どもたちの数は5427人にも上ります。専門家は、シリア国内で500万人以上の子どもたちが援助を必要としており、約250万人の子どもたちが近隣諸国に避難していると推定しています。この事実に加え、シリアに残る人々のおよそ80%は貧困ライン以下の生活を送っています。
戦争から丸9年、シリア軍は有利な戦況でテロとの戦いの最終段階を迎えています。現在テロ組織をシリア北部イドリブ県から完全に掃討するための作戦が進められています。2015年からテロ組織 アルシャム(旧ヌスラ戦線)が支配してきたイドリブ県は、シリア反体制派の最後の砦でした。
イドリブ県の中心都市イドリブから7 kmのところに展開するシリア政府軍に対し、トルコはシリア軍の勝利を阻止するためにその拠点を攻撃しました。 米主導の西部諸国も、アサド大統領解任の陰謀が失敗したことを認め、今度は政治プロセスを混乱させて、特にクルド人とシリア政府の間に内部分裂を作り出そうとしています。アラブ諸国は、シリアでの目標達成に失敗した現実を受け入れて、シリアをアラブ連盟に復帰させようとしています。
シリアでの戦争の10年目はその終結と同時に、今度は米主導の西側諸国が政治プロセスにおいて破壊行為を継続すると思われます。
ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。
https://twitter.com/parstodayj