制裁を回避する「物々交換」型貿易、アジアで拡大
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西側諸国の一方的な制裁の拡大により、ロシア、中国、イラン、パキスタンなどの国々は、貿易を維持するために、昔ながらの「物々交換」方式による貿易を導入しています。この方法は、ドルや世界銀行システムへの依存を減らすだけでなく、世界貿易の地図を根本から変えつつあります。
(last modified 2025-10-11T07:29:51+00:00 )
10月 09, 2025 16:08 Asia/Tokyo
  • 制裁を回避する「物々交換」型貿易、アジアで拡大
    制裁を回避する「物々交換」型貿易、アジアで拡大

西側諸国の一方的な制裁の拡大により、ロシア、中国、イラン、パキスタンなどの国々は、貿易を維持するために、昔ながらの「物々交換」方式による貿易を導入しています。この方法は、ドルや世界銀行システムへの依存を減らすだけでなく、世界貿易の地図を根本から変えつつあります。

【ParsToday国際】ロシア、イラン、中国に対する西側の制裁が強化される中、最も古い貿易形態である「物々交換」が拡大しています。かつて人類の唯一の交易方法であった物々交換は、現在では制裁を回避し、非西側諸国が貿易を維持するための戦略的手段となっています。

 

物々交換:古代から現代の地政学まで

物々交換は、人類文明における最も古い取引形態です。お金を使わず、商品やサービスを直接交換する方法です。貨幣の登場により、その利用頻度は減少しましたが、現代において制裁が拡大する中、圧力を受けている国々にとって、重要な手段となっています。この方法により、各国は追跡可能で凍結可能な国際的な銀行取引に依存せずに、貿易を行うことができます。

 

例:自動車と小麦、石油と紅茶の物々交換

実際に、近年ではこのような取引の例が数多く見られます。例えば、中国とロシアの貿易では、ロシアが中国製の自動車を輸入する代わりに小麦を提供しているほか、金属製品を産業用機械と交換しています。また、イランと中国は、中国企業が自動車部品をイランに送る代わりに、銅や亜鉛、さらにはピスタチオを受け取っています。また、イランがスリランカの石油債務を紅茶で決済したことがあります。パキスタンも物々交換の合意を結び、自国産のコメをイランからの石油、銅、電力と交換しています。

 

パキスタン:物々交換の新興プレーヤー

パキスタンは、最近になって法的枠組みを改正し、物々交換貿易に積極的に参加するようになりました。パキスタンは、イラン、アフガニスタン、ロシアと協定を結び、外国為替準備への圧力を軽減するだけでなく、コメの輸出などでインドに対抗する存在となりつつあります。この戦略的な動きは、南アジアにおける貿易のバランスに影響を与える可能性があります。

 

西側諸国の反応:監視、特定、対抗

こうした動きに欧米は神経をとがらせています。特に、ロシアが戦争に必要な50品目をリスト化し、その取引などを追跡しています。また、国際企業には、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、インドなど、これらの商品が中継される可能性のある第三国との取引に対して慎重を期すよう警告しています。

 

インド:西側とロシアの狭間で

インドは、アジアで2番目に大きな経済規模を持つ国であり、ロシアからの石油の最大の輸入国の1つです。そのため、いわゆる二次制裁の矢面に立たされています。トランプ米政権はインド製品に25%の関税を課し、インドを「ロシアの戦争の資金提供国」として前例のない圧力を加えています。しかし、インドはロシアとの安定した、実績のある関係を強調し、ロシアからの石油輸入を続ける方針を示しています。こうした姿勢は、米国との間で経済的緊張を生み、世界経済における重要な問題となっています。

 

物々交換と世界貿易の未来

物々交換は単なる一時的な解決策ではなく、世界経済の秩序における深い変革を示すものだと思われます。この現象は、西側主導の伝統的なメカニズムに依存しない平行的な貿易システムを作り上げようとする非西洋諸国の努力を反映しています。この方法には、商品価格の変動や物流の複雑さといった課題もありますが、短期的には、制裁を受けている国々が経済を維持するための手段となり得ます。長期的には、この動きがドルの支配力を弱め、新しい経済ブロックが世界で形成されることにつながる可能性があります。

 


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