金属工芸
錠前作りの師匠であるキヤーニーさんは、息子たちとともに、金属を様々な抽象的な形の錠前に作り上げています。しかし、錠前作りは彼の金属加工技術のほんの一部にすぎません。
イランでは、すでにサーサーン朝時代に、金属から人間や動物の形をした錠前が作られていました。
そして、今日までの長い年月の間に、錠前に代表される金属加工は1つの技術に発展しました。
私たちは今、イラン中部イスファハーンに来ています。
ここは、イスファハーンで最も有名な錠前工房の1つ、キヤーニーさんの工房です。
キヤーニーさんは、幼少のころからこの仕事に携わってきました。
彼の2人の息子も同様です。
キヤーニーさんは、錠前作りにおいて独自の技術を編み出しました。
それでは、ご一緒にこの技術を見ていきましょう。
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ー 錠前作りは、どのくらいの間行っていますか?
約45年携わっています。
ー 錠前を造る過程を教えてください。
キヤーニーさん:私たちが使っているのは、工場から出た金属くずです。
まず、金属くずから様々な形を切り出します。
それから、各パーツを作ります。
そしてパーツに穴をあけて、ボルトで繋ぎます。
もし必要であれば、溶接もします。
この錠前に、4つの鍵がついています。
こちらは、シロイワヤギを模った錠前です。
こちらは、ヒョウを模っています。
こちらは、キヤーニーさんの息子のサイードさんです。
サイードさん:これらは、イランで最も小型の錠前です。
この3つは私が作りました。
一番小さな錠前は、3.8ミリの大きさです。
こちらは5ミリです。
3番目のこちらは6ミリです。
キヤーニーさん親子は、ユネスコから賞を受けたこともあります。
金属加工は、錠前を作るだけではありません。
それ以外の美しいものも、この技術で作られています。
これは、 金属でできた香水を入れる瓶です。
上部は、ペルシア神話に登場する不死鳥・ホマーの形をしています。
また、胴部は球状で、表面にはレリーフが彫り込まれています。