ペルシャ語ことわざ散歩(203)「まだ二飲み半残っている」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は預言者ソレイマーンにまつわることわざをご紹介してまいりましょう。
今日ご紹介するのは「まだ二飲み半残っている」という表現で、ペルシャ語での読み方は Do ghurt niim-esh baaghi ast となります。
この表現は、非常に貪欲であること、自分の然るべき分け前以上にむやみに欲しがること、もしくは、他人が好意で自発的に施してくれたものや親切に飽き足らず、逆にこれを相手の義務だとして不満を感じ、もっと欲しがり期待することを意味しており、その由来は以下のような物語にあるとされています。
ある時、預言者ソレイマーンがすべての生き物たちを食事に招き、順番にご馳走でもてなしていました。さて、ある魚の番になりました。その魚は自分に与えられたご馳走だけでは足らず、ほかの動物たちのご馳走までをもぺろりと平らげてしまい、その上にもっとご馳走を出してほしいと言いました。
預言者ソレイマーンがこの魚の食欲の旺盛さにあきれていると、魚は次のように言いました。「私は1日に3回食事をとります。1回の食事につき3回飲み込みます。今回はまだ二飲み半しか食べていないので、あと一飲みの半分がまだ残っています」
このことから、自分の分け前以上にむやみに欲しがり、非常に貪欲であることや、他人から与えられたものや親切に飽き足らず、もっと欲しいと不当な期待や要求をすることを「まだ二飲み半残っている」という表現で表すようになりました。
逆に、日本語では「起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半」と言われるように、必要以上のものを手に入れても使い切れず、無意味であることを戒めることわざが存在します。
やはり何事も、分をわきまえ,己の身の程を知り、また足るを知ることこそが、本当の意味で長く幸せに、また心から満たされるための秘訣ではないでしょうか。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。