シャリーフ工科大学
今回の番組では、シャリーフ工科大学をご紹介してまいりましょう。
シャリーフ工科大学は、イランの多くの大学と比べると、まだ新しい、成長過程にある大学とみなされています。これにもかかわらず、この大学は50年の間に、国内、地域、世界レベルで応用科学、技術、工業において先駆けとなる科学研究所として活動し、高い地位を誇ってきました。
シャリーフ工科大学は、1965年、科学的に高いレベルで、イランが必要とする専門的人材を教育し、確保するために創設されました。1966年からわずか54人の教授陣により、407人の学生を受け入れ、教育活動を開始しました。創設者は、モジュタヘディ博士で、彼は初めての機械工学の博士号取得者で、34年間、名門のアルボルズ高等学校の校長を務めていました。彼はさらに、シーラーズ大学、テヘランポリテクニック大学、シャヒードベヘシュティ大学の学長も務めました。シャリーフ工科大学は現在、テヘラン中心部のアーザーディ通りにあります。
現在、この大学には2つの分校、13の学部、16の研究所、17の教育・研究センター、5つの機関などが属しています。さらに最新の統計によれば、2015年には1万1000人の学生が在籍しています。学生数が多い学部は、順に、電気工学、化学工学、産業科学、コンピュータ・ソフトウエアとなっています。シャリーフ工科大学は50年で4万人の卒業生を出し、その多くが国の責任者になったり、科学分野で活躍し、学界に大きく貢献したりしています。
シャリーフ工科大学の明らかな特徴の一つに、大学入学試験で1桁から2桁の順位で合格した学生の96%がこの大学に入学しているということが挙げられます。この大学は、優れた学術団体のメンバーや研究者、エリート学生の存在により、毎年1500本以上の論文をISIに、さらに1500本の論文を国内外の雑誌に発表しており、論文の被引用回数は1万5千件となっています。さらにこの大学は年間で、企業などと数百の契約を締結しており、この点でイランの大学の中でも先駆的な存在となっています。
大学入試で1桁から2桁の順位で合格した学生の96%が入学していること、人工衛星の製造、これらの衛星の航空宇宙機関への引き渡し、様々な科学技術大会、科学オリンピックでの度重なる受賞といったことが、シャリーフ工科大学の名誉として挙げられます。
国際的にも、この大学の卒業生であるマリヤム・ミールザーハーニーさんが、世界的な数学の賞、フィールズ賞を、世界で初めての女性として受賞しています。タイムズ紙で世界の優れた大学にランキングされたことやロボカップで優秀な成績を収めていること、数学やコンピュータ科学分野の国際大会で上位に入賞していること、同大学の学術団体のメンバーがIEEE・電子工学技術学会のメンバーに選ばれたことなども、この大学の国際的な名誉として挙げることができます。
シャリーフ工科大学の電気工学部は、この大学で最も人気のある学部となっています。この大学の電気工学部は、1966年、100人の学生と12人の教授によってその活動を始め、現在は1700人の学生がそれぞれの課程で学んでいます。電気工学部はさらに6つのグループに分かれています。
この大学の研究所の一つに、ナノテクノロジー研究所があります。この研究所は2005年、ナノメートル単位の道具、構造、各種の物質の特性の把握と生産に関する活動を拡大する目的で、創設されました。
シャリーフ工科大学の学術的に高い地位や重要性により、多くの留学生がこの大学で学んでいます。2016年現在、およそ80人の留学生がこの大学に在籍しています。留学生の数の多い学部は、順に、石油工学、電気工学、航空宇宙工学、コンピュータとなっています。留学生の多くが、近隣諸国やアジア、ヨーロッパの出身者となっています。
イラクからの留学生、ゴライブさんは、コンピュータ工学の博士課程に在籍しています。彼はバグダッド科学技術大学で学士を取得し、2007年からイランで修士課程に入り、現在は博士課程を修了しようとしています。ゴライブさんはこのように語っています。
「シャリーフ工科大学は、学術的に世界で知られた大学であり、世界でも最も有力な大学の一つだと言えるでしょう。アメリカの有名な大学で6か月学んだことがありますが、そこで教えていたほとんどの教授が、シャリーフ工科大学を世界でも権威ある大学として知っていました。またシャリーフ工科大学を出た多くの学生も、このアメリカの大学で、学んでいました」
ゴライブさんはシャリーフ工科大学を学術的な点から高く評価し、その利点の一つとして、とくに工学部での英語文献の使用と英語での授業を挙げ、これはイラン人以外の外国人の留学生にとって多くの助けになるとしてます。