1月 18, 2017 19:52 Asia/Tokyo
  • 宝石や貴金属
    宝石や貴金属

今回は、イランの宝石や貴金属についてお話ししましょう。  

イランは宝石や貴金属の隠れた宝庫と呼ばれています。イランの地質の構造により、至るところで、宝石や貴金属を発見することができます。

 

宝石は鉱物の一種です。宝石が人類の生活に登場するようになったのは、およそ6000年から7000年前のことです。宝石とは、通常、他とは異なる特徴を持つ鉱物に対して使われています。サンゴや真珠などを除き、主に、天然鉱物としての無機物の結晶を指します。

宝石

 

人類の最初の装飾品は、貝や骨、象牙や葉、羽根などの、暮らす場所や文化によるものでした。彼らはそれらによって、自分の身を超自然的な力から守り、災難や病気を遠ざけ、エネルギーを増幅させることができると考えていたようです。次第にこのような考え方から離れ、装飾品の使用は、家系や社会的な地位、富を象徴するものとなっていきました。装飾品を使用しなければ、人々から価値の低い人間と見なされていたのです。

 

宝石や貴金属

 

歴史の中で示されているように、最初、宝石は装飾品として使用されていました。これらは多かれ少なかれ、すべての民族の間に存在していました。

 

イラン人も、天然の鉱物を加工し、これらの美しい石を装飾品としていた民族の一つでした。彼らは長年にわたって培った技術や経験により、宝石学の基礎を築いた人々と見なされています。古い記述などは、イラン人が鉱物や宝石を知っていたことを示しています。

宝石や貴金属

 

アブーレイハーン・ビール―二―やジャーベル・イブン・ハヤーン、モハマド・イブン・ザキャリヤー・ラーズィー、ブーアリー・スィーナーなどのイラン人の学者は、何世紀も前に鉱物の特徴を知っていました。

 

宝石は、19世紀の半ばから、価値の高い貴石とやや価値の低い半貴石に分けられました。貴石とはダイヤモンドやルビー、サファイヤ、エメラルドを指します。これらの宝石は、美しさ、耐久性、希少性といった点で価値の高いものです。これらの中で、ダイヤモンドは最も硬い鉱物です。ルビーやサファイヤは、どちらも酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物です。エメラルドは緑柱石の一種です。

 

半貴石は、多くが二酸化ケイ素の結晶によりできた石英質の鉱物です。半貴石には、メノウ、ターコイズ、アメシスト、アクアマリンなどがあります。それぞれの価値は、美しさ、耐久性、輝き、大きさなどによって決められます。

 

マラカイト・孔雀石やラピスラズリといった半貴石の一部は、非常に高価な値段で取引されています。そのため、貴石や半貴石といった表現は少しずつ使用されなくなっています。

宝石や貴金属

 

宝石の取引は、この数十年の間に、宝石学や技術の発展により、世界規模で大きな発展を遂げました。一部の国の経済は、直接、この取引の影響を受けています。世界の宝石市場では、年間数兆ドルの取引が行われています。

 

宝石には様々な特徴があり、その多くは、世界の戦略的な産業に用いられています。宝石は、装飾品に利用されるだけでなく、ナノテクノロジー、原子力プロジェクト、医療設備や宇宙望遠鏡の製造にも使用されています。また、パワーストーンを使ったジェムセラピーという宝石療法にも活用されています。

トルコ石

 

イランでは、鉱物に関する基本情報を収集したり、採掘を行ったりする義務は、鉱物採掘・地質学機構にゆだねられています。この機関は、50年以上にわたって活動を行っており、高い専門的な技術を有することから、世界の上位8つの地質学研究機関に含まれており、中東や世界の地質学に関する地図を作成しています。

 

イランの地質学機構の活動によれば、イランには少なくとも40種類の宝石が存在し、宝石産業において高いポテンシャルを有しています。特に重要な地域は、ゴム、ホラーサーン、ケルマーン、ハメダーン、イスファハーン、セムナーン、コルデスターンとなっています。

 

中でも、ゴムのメノウとネイシャ―ブールのターコイズは、大きな重要性を有しています。メノウとターコイズは、イスラム文化において価値のある鉱物です。宗教の偉人たちは、イスラム教徒に、これらの宝石を使用を奨励しています。シーア派6代目イマーム、サーデグは、このように語っています。「メノウの指輪をつけなさい。持ち主によいことがあるだろう」

メノウの指輪

 

ゴムのメノウ鉱山は、イランでも重要な鉱山のひとつです。この鉱山には、5000トン以上のメノウが存在すると見られています。これまでに、赤や青、灰色、茶色、黒、緑など、80色のメノウが確認されています。

メノウの石

 

ターコイズは価値の高い希少な鉱物のひとつで、青から緑の色を持っています。この石は、ホラーサーンラザヴィー、南ホラーサーン、ケルマーン、ヤズド、セムナーンといった地域で採掘されています。

 

イランで最も有名なターコイズは、ホラーサーンラザヴィー州のネイシャ―ブールにあるもので、世界的な名声を得ています。ネイシャ―ブールのターコイズは、世界のターコイズの質を決定する基準となっています。ネイシャ―ブールのターコイズの鉱山は、世界でも最も古い鉱山で、数千年前から採掘が行われていました。最古のターコイズの加工品は、牛の彫像で、およそ7000年前のものとされています。この彫像は現在、テヘランのイラン考古学博物館に保管されています。

 

ホラーサーンラザヴィー州の宝石は、世界的に知られています。このため、この州の州都であるマシュハドが、国際的な機関から、世界宝石都市に選ばれました。

 

イランを訪れる多くの観光客の目的のひとつは、イラン宝石博物館を見学することです。テヘランにあるこの博物館には、世界の貴重な宝石が展示されています。