7月 08, 2017 14:57 Asia/Tokyo

コーラン第27章 ナムル章 蟻 第70節~第75節

慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において

 

70節

「[預言者よ、]彼ら[の逸脱]に悲しんではならない。彼らの陰謀に心を痛めてはいけない。」(27:70)

وَلَا تَحْزَنْ عَلَيْهِمْ وَلَا تَكُ فِي ضَيْقٍ مِمَّا يَمْكُرُونَ (70)

 

71節

「そして彼らは言う。『あなたが本当のことを言っているのなら、その[現世の責め苦、あるいは最後の審判という]約束はいつになるのか?』 」(27:71)

وَيَقُولُونَ مَتَى هَذَا الْوَعْدُ إِنْ كُنْتُمْ صَادِقِينَ (71)

 

72節

「言え、『あなた方が急いで求めることの一部は、あなた方に迫っているかもしれない』」 (27: 72)

قُلْ عَسَى أَنْ يَكُونَ رَدِفَ لَكُمْ بَعْضُ الَّذِي تَسْتَعْجِلُونَ (72)

 

前回の番組でお話したように、この章の第69節で、コーランは預言者に反対する人々に、地上の様々な土地を旅し、過去の文明が滅びた様子を観察し、彼らの運命から教訓を得るよう勧めていました。しかしこの3つの節は、預言者ムハンマドに次のように語っています。「多神教徒が頑なな心を捨てようとせず、常に真理を拒んでいることを悲しんではならない。汝は自分の義務を果たし、真理を彼らの耳に届けた。神は人間を自由なものとして創造し、彼らが強制されて信仰を寄せるのを望んでいない。とはいえ彼らは、信仰を寄せなかっただけでなく、汝の導きや布教を妨害するために常に陰謀を企てている。だが我々は彼らの陰謀を打ち砕くだろう。だからそれを心配してはならない」

 

この節は続けて、多神教徒の言葉に触れ、次のように語っています。「彼らは預言者や敬虔な人々を嘲笑し、『あなたたちは、現世と来世で神の懲罰が私たちに襲い掛かると言っているが、なぜその懲罰が私たちに下らないのか?私たちはそれを待っている』と言っていた。神はそれに答えて言った。『急ぐ必要はない。あなたたちは間もなくそれに遭遇するだろう。そしてあなたたちが嘲笑していたことが、あなたたちに襲い掛かるだろう』」

 

73節~第75節の教え

・迷いに陥った人々のために心を痛めるのにも限界があります。迷った人を導くために努力することは必要ですが、もし真理を理解した上で、それでもなお、偽りに執着するのであれば、その人たちのことは放っておくべきであり、彼らのために心を痛める必要はありません。

・神が圧制者や不信心者に猶予を与えているのは、神が彼らのことを忘れたためではありません。遅かれ早かれ、彼らにはその悪しき行いの懲罰が下ることになるのです。

 

73節

「まことに汝の主は人々に対して恩恵を施す。だが彼らの多くは感謝しない。」(27:73)

وَإِنَّ رَبَّكَ لَذُو فَضْلٍ عَلَى النَّاسِ وَلَكِنَّ أَكْثَرَهُمْ لَا يَشْكُرُونَ (73)

 

74節

「また本当に汝の主は、彼らが胸の内に隠すことも、明らかにすることも[よく]知っている。」(27:74)

وَإِنَّ رَبَّكَ لَيَعْلَمُ مَا تُكِنُّ صُدُورُهُمْ وَمَا يُعْلِنُونَ (74)

 

75節

「天と地において隠されている全てのことは、[神のもとにある]書物の中で明らかにされている」 (27:75)

وَمَا مِنْ غَائِبَةٍ فِي السَّمَاءِ وَالْأَرْضِ إِلَّا فِي كِتَابٍ مُبِينٍ (75)

 

前の節に続き、この3つの節は次のように語っています。「もし神があなたたちの懲罰を急いでいないとすれば、それは、それが不可能だからでも、それを忘れているからでもない。それは神の僕たちに対する恩恵ゆえのことであり、神は彼らに罪を悔い改めるための猶予を与えている。だが残念ながら、彼らは神の大きな慈悲に注目せず、感謝しない。そして過去の誤った行いを改める代わりに、その行いを繰り返す」

 

恐らく圧制者たちは、神が彼らに懲罰を下さない理由は、彼らの行いに気づいていないか、彼らの危険な陰謀や計画を抑えることができないためだと考えているのかもしれません。しかし、神は彼らだけでなく、創造世界に存在する全てのものの内面まで知っており、神の目を逃れられるものは何もありません。なぜなら、創造世界には、無限の知識であり、全ての事柄を記録する神の書物が存在するからです。

 

73節~第75節の教え

・神から与えられる猶予の価値を知りましょう。それを、過去の罪を悔い改めるために活用しましょう。決して自分たちの行いが正しかった、あるいは、自分たちは懲罰を受けるほどのことはしていない、などと考えてはなりません。

・神は、明らかなことも、隠されたことも、全てのことを知っています。天と地にある目に見えないもの、人間が隠す行いなど、最後の審判が行われる日、神はその他の秘密をご存知です。また、全ての創造物は神に監視されており、神のもとでその行いが清算されます。

・私たちは行いだけでなく、その目的や動機を改めることも必要です。他者の不幸を願うのではなく、彼らの幸福を望みましょう。神は私たちの心の内を知っており、それにより、私たちに慈悲や恩恵を与えてくださいます。