片親のみの家庭が子どもに及ぼす影響
今回は、片親のみの家庭、特に父親不在の家庭環境が子どもに及ぼす影響について考えます。
母親のみと暮らす子どもは、父親がいないために経済的な問題に直面し、生活に困窮していることが多くなっています。彼らの多くはまた、発言力の弱さや教育を受ける機会を阻まれる、といった多くの問題に直面しています。
残念ながら、片親のみの家庭で育つ子どもが受ける悪影響は、このほかにも存在します。今夜は、そうした家庭の子どもが受ける行動面での影響についてお話します。それでは、ここからは父親或いは母親の不在による影響、そして片親のみとの生活と子どもの行動障害との関連性という2つのテーマについて考えることにいたしましょう。
片親のみの家庭が増えたことによる影響の1つとして、子どもの行動に及ぼす悪影響が挙げられます。こうした家庭の子どもは、行動面で多くの問題に直面しており、キレやすく、精神的な問題を抱えています。さらに、彼らについては周りの環境にうまく適応できず、自立性が欠如していることも指摘できます。このように、片親のみの家庭で育つ子どもは、精神的な問題に悩まされており、学校でも友達と適切な関係を築くことができないため、非行に走る可能性もが非常に高くなっています。
研究者の間では、父親の不在が少年少女に様々な弊害をもたらすと考えられています。家庭に父親がいない場合、男子は社会的なルールへの違反行為に走る傾向があり、また女子については娘としての心のより所が揺らぐことになります。
さらに、父親の不在が子どもに及ぼす悪影響を調査した結果、そうした家庭の子どもは知能指数が相対的に低く、また表現力も低いレベルに留まっていることが判明しています。アメリカの歴史家フランク・ルーサー・マットによれば、女子の方が男子よりも父親の不在による言語・表現能力への悪影響を受けやすく、父親の不在が女子の論理的な表現能力に弊害を及ぼしている、ということです。
父親のいない子どもに対する弊害に関する調査の結果、彼らが父親とともに暮らす子どもに比べて、情緒面での障害やうつ病を抱えているケースが多いことが判明しています。
多くの調査結果からは、家庭における父親の不在が男性としてのアイデンティティの発達や学業面での成功、そして社会での成功に弊害をもたらすことが確認されています。その理由は、こうした特徴が成人してからの個人的な成功や、一家の生計の担い手として男性の役割のあり方に影響を及ぼすからだとされています。1960年代から70年代にかけての研究によれば、父親のいない家庭で育った男子は男らしさが欠如し、女性じみた人格になることが分かっています。さらに、こうした男子は父親のもとで育った男子に比べて、同性愛に陥りやすいとされています。それでは次に、こうした結論を裏付けるいくつかの調査をご紹介することにいたしましょう。
アメリカの心理学者H.B.ビラーは1974年、次のように述べています。「すぐにキレやすい性格の男子は、父親のいない家庭で育った場合に多い。その理由は、母親が一家の監督者として男らしさを育むことができないことにある」 さらに、アメリカのもう1人の作家G.J.ブルードが1990年に発表したところによりますと、男子に過剰な命令を押し付けることで、彼らがキレやすい人間に育ってしまうとされています。この作家の見解では、父親が存在することで、男子のキレやすい性質が抑制されると考えられています。このため、すぐにキレやすい性格は、父親と息子が適切に折り合うことができなかった間接的な結果だと思われます。
複数の調査結果から、片親のみの家庭で育つ子どもは、両親が揃っている家庭の子どもに比べて、他人とうまく折り合う能力に乏しいことが分かっています。彼らはまた、社会的に低い階層に留まり、適切な住居を持てず、経済的に困窮していることが多くなっています。
さらに、両親が離婚、或いは別居している家庭の子どもには、両親のいずれかが死去した家庭の子どもに比べて行動障害がより多く見られます。豊富なサンプル収集による調査からは、離婚が社会の広範囲にとって大きな危険因子であることが分かっています。また、両親の離婚は子どもの精神的な問題や、子どもが学業面で成功できない、自信が持てない、ストレス、犯罪行為の繰り返し、麻薬の服用や性犯罪、早熟、うつ病、さらには自殺といった事柄の原因となります。
児童学の専門家は、片親しかいない子どもは両親と暮らしている子どもと同様には、様々な物事をうまく履行できないと考えています。この結論は、アメリカの社会学者サラ・マクラナハントゲリー・サンダファーが10年間にわたって行った研究調査から明らかになったものです。なお、この研究結果は『母子家庭で育つ』という著作にまとめられています。この2人の社会学者の見解では、親の教養レベルや学歴、人種といった要素はともかく、片親のみの家庭で育った子どもは、両親の揃った家庭の子どもに比べて、条件的に好ましくない状況に置かれているとされています。また、この2人の学者の学説は、片親のみの家庭の多くは収入が低く、好ましくない社会環境の中で暮らしていることに加えて、親が子どもの学校の勉強を手伝えないことを裏付けています。さらに、こうした家庭の子どもは学校外の社会活動にもほとんど参加していないとされています。
片親しかいない子どもは、両親の揃っている子どもに比べて、親と過ごす時間が長いと考えられていますが、現実は全く正反対となっています。それは、片親のみの家庭では、より多くの責務や雑事をこなさなければならないために、子どもと過ごす時間がより少なくなるからです。
片親のみの家庭で育つ子どもの問題は、教育の面でも熟考する余地があります。ラジオをお聞きの皆様、今夜はここで時間がきてしまいました。
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