シーア派12代目イマーム・マハディ(最終回)
今回は、現在お隠れ中の身とされ、将来公に姿を現すことが約束されている救世主で、シーア派12代目イマーム・マハディの統治時代の特徴の最終回をお届けします。どうぞ、最後までご一緒ください。
これまでにお話したように、救世主イマーム・マハディの治世は、世界からの圧制や腐敗、犯罪の払拭により始まります。このため、そうした社会では他人の権利を侵害する圧制者や犯罪者が摘発される可能性があります。このことから、社会には暴虐を受けた人々の権利を奪還し、圧制者を処罰する、公正で強制力のある法的機関が必要になります。
イマーム・マハディは、あらゆる国の民族や国民を、彼らの慣習や法典に基づいて裁きます。この救世主による繁栄した時代には、知性面で成長を遂げ、人格的に完成し、自己浄化されている人物が裁判官に選ばれます。このため、これらの裁判官は脅迫や贈賄などに動じたり、公正な裁断の道筋から外れることはありません。
ここで注目すべきことは、イマーム・マハディの裁断や審判の方法は、慣習的な方式や通常の司法的な手段とは異なるということです。現代においては、裁判官は証拠資料に基づいて事件や訴訟に対する判決を下します。また、一部の事例では、裁判官が憶測や推測により、あるいは当事者のいずれかを好意的に見ていることなどから、真偽の判断に誤りが生じる可能性もあります。
イマーム・マハディの時代にも、訴訟や事件の解決に際して通常の司法的な方式が利用される可能性はあります。しかし、この場合には個人的な推測、さらには当事者に対する個人的な主観がかかわってくる事はなく、いずれの場合においても、審判や裁断は絶対的に公正なものです。イマーム・マハディは、神の恩恵により現実的で厳正な掟に基づき、審判を行うのです。
イマーム・マハディに選出された裁判官は、複雑で困難な問題の処遇においても困窮する事はありません。彼らは、幅広い学識を持っていることから、より多くの問題に関する情報を得ています。そして、自らの持つ学識により裁断を下すとともに、イスラムにおける裁判方式の1つである参考人や証人の証言も活用します。
イマーム・マハディの統治体制においては、科学技術の急速な発達により、犯罪の摘発手段も変化し、犯罪者も迅速に特定されます。このため、犯罪者や違反者は決して法の抜け穴をかいくぐる事はできず、自宅においても安穏としていられることはありません。
明らかに、情報が世界を支配しなければ、万国共通の体制の樹立や、安全で公明正大な世界の実現は不可能です。イマーム・マハディは、世界の状況を完全に監視しており、世界のいずれの場所で発生する些細な変化さえも全て察知しています。高く聳え立つ山々、地表面に存在する窪みはもちろん、自然現象や自然の要素のどれ1つとして、世界に対するイマーム・マハディの管理・管轄を妨害する事はできません。すでにお話したように、こうした監視や管轄は、先進技術の助けにより実施されます。いずれにせよ、イマーム・マハディは広大な地球上の全ての国で発生する出来事を、隈なく監視しているのです。
イマーム・マハディは、過去の預言者たちの計画を集大成し、完成させます。それは、彼らのいずれにとっても、人類社会における抜本的な改革により、万国共通の統一政権を発足させたり、或いは正義を確立させたり、圧政的、暴虐的な機関を一度に排除するという下地が整わなかったからです。社会改革と神の教えの完全な実施こそが、それまでの全ての預言者たちの目標ではあったものの、そうした大きな成功を手にできるのは、イマーム・マハディしかいないのです。
神の預言者たちは、それぞれの時代の人々の理解力や能力に合わせて、自らの崇高なる理念の達成に向けて努力し、最後の預言者が現世に遣わされるまで、人類の思考レベルを向上させました。最後の預言者は、人類文明の変革とその抜本的な改革のために、包括的で完全な計画を提示しています。神の預言者とその一門は、神の道において多大な努力を重ね、幾多の困難を耐え忍び、公明正大で平等な世界の実現と、人類の抱える問題の是正を目指す、イマーム・マハディの世界的な運動のお膳立てをしたことになります。
言うまでもなく、世界における包括的な正義の実現と、一神教信仰の普及のためには、然るべき下地背景が整う必要があります。人類は、日々酸いも甘いもかみ分け、自らの才能を発揮し、万国共通の公正なる統治体制の発足に向けて、必要な用意を整えておく必要があります。そして、その暁には、イマーム・マハディの比類なき指導や措置により、それまで残存していた最後の圧制や無神論が征服され、人類の理想が実現されるのです。
イマーム・マハディによる万国共通の統治政権の特徴の一部には、次のようなものがあります。
それらは、全世界における圧制の排除や、正義と平等の確立、万国共通の統一政権の発足、人間関係における兄弟愛や平等の原則の徹底、無明や貧困の根絶、公共の福祉と安らぎ、真の正義に基づく裁判、戦争や恐怖、殺し合いによる流血の根絶や、平和と安全、安らぎの実現、人々の神への信仰心や精神性が過去最高に達する事、人類社会からのモラル・社会的な退廃の払拭、科学技術の奇跡的な発展、地上の繁栄と豊かな恩恵の享受、全人類の間の友好関係の確立と平和共存、そして世界の全ての事柄の全体的な改革、となっています。
イマーム・マハディは、現在のお隠れ状態を脱して姿を現すことで、世界に平和と正義を浸透させます。しかし、それは決してこの救世主の出現する時まで、何もしないで時を過ごし、世界の出来事に無関心で何の策も講じない、という意味ではありません。逆に、その時が到来するまで、私たちは正義を求める改革運動により、圧政や腐敗に対抗しなければならないのです。
現在、多くの人々が物質的な世界での表面的な豊かさや華やかさに囚われている中で、信仰心や目標、希望を持っている人は、正しい価値観や原則を守り、神からの恩恵が得られる事への希望を失うことがありません。そして、これこそはまさに本当の意味での期待であり、確信と希望が伴っています。
人類は、歴史を通して、また社会的な存続においては、いわば海の真ん中で嵐に襲われた船頭のようなものです。人生の荒波の只中にあっても、いつの日か必ず安全な岸にたどり着くことを確信し、希望を持って物事を進めていくのです。
人間の意識に、真実が勝利を収め、虚偽が敗北するという希望が蘇ったとき、絶望や失望は消え去ります。希望を持つ事は、人間に前進を促す原動力であり、現在の逆境が長くは続かず、確実にいつの日か世界の状況が落ち着く、という考えを強めます。希望は、人間に喜びと抵抗力を与えるものなのです。
イマーム・マハディがお隠れ中の時代には、多くの場合において真偽と正誤の境界線の見極めが困難であることから、人々を指導、教示する責任は敬虔なイスラム学者に委ねられています。彼らは、いわばイスラムの真の番人であり、時代のニーズに応じて学術的な方法を駆使し、真実を説明します。時代の趨勢を見極めたこれらの学者たちは、人々の邪道への逸脱や本筋からの脱線を阻止し、地上に公正なる人物による統治が成立するための下地を形成するのです。
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