7月 15, 2018 23:24 Asia/Tokyo
  • ハシュトべへシュト庭園
    ハシュトべへシュト庭園

今回は、イスファハーンのハシュトべへシュト庭園と、パランデガーン庭園についてご紹介しましょう。

前回は、イラン中部イスファハーンの町は、ザーヤンデルードという河川の存在により、数多くの庭園や緑豊かな平原が見られるとし、その例として、チェヘルソトゥーン庭園についてお話ししました。今回は、イスファハーンのハシュトべへシュト庭園と、パランデガーン庭園についてご紹介しましょう。ハシュトべへシュト庭園とその美しい建物は、イランの国家遺産に登録されています。

هشت بهشت

ハシュトべへシュト庭園

 

ハシュトべへシュト庭園は、イスファハーンの市街地、チャハールバーグ通りの西に位置しています。この庭園は、斜面のない平らな庭園で、イマーム広場の一部となっており、ボルボル庭園という名で知られています。背の高いすずかけの木や、古い木々で覆われたこの大きな庭園の間に、イスファハーンの町の美しい古代遺跡であるハシュトベヘシュト宮殿があります。この宮殿は、イランの建築芸術の見本です。ハシュトベヘシュトの建物は、縦35メートル、横26メートルで、地上から2メートルの大理石でできた台座の上にあります。ハシュトベヘシュトの建物は、2階建てでファヴィー朝時代の多くの建物と同じように八角形をしており、このような建築方法は、建物全体に影響を及ぼしており、その美しさを倍増させています。建物のメインの広間の真ん中には、大理石でできた八角形の池があり、「真珠の池」という名で知られています。

ハシュトべへシュト庭園

 

ハシュトベヘシュト宮殿のアーチとエイヴァーンと呼ばれるテラスは、あらゆる方向から、周囲の美しい景色を堪能することができるようになっています。天井や壁は、全体が非常に美しいタイルで覆われ、花や鳥の模様が施されています。それぞれの部屋やエイヴァーンは、特別な装飾や形になっており、建物のどこにも、同じ装飾が見られる場所はありません。この建物のいたるところに見られる様々な種類の装飾は、当時のイラン人芸術家の創造性や溢れる情熱を物語っています。この建物は、建てられてから300年以上が経過したにも拘わらず、全体のデザインが変わっていません。この建物は、サファヴィー朝時代の類まれなる宮殿の一つと言うことができます。フランスの旅行家、ジャン・シャルダンが、ハシュトベヘシュトの建物を、ヨーロッパの最も壮麗な宮殿よりも華やかなものだと語ったのもうなずけるでしょう。

ナージュヴァーン公園

 

イスファハーンの町は、サファヴィー朝時代の美しい多くの庭園と共に、現在も、数多くの美しい庭園や公園の存在によって知られています。イスファハーンの公園のほとんどは、非常に美しい景観と自然の特長を有していますが、その中でも、ナージュヴァーン公園は、類まれなる自然の景観が広がっていることにより、特別な重要性を有しています。ナージュヴァーン自然公園は、イスファハーンで最も美しい公園の一つであり、面積はおよそ1200ヘクタール、イスファハーンの西に位置し、町のはずれに緑の空間を作り出しています。ザーヤーンデルードと呼ばれる河川が、農耕地や茂み、庭園の間を流れ、この公園に類まれなる魅力を添えており、イスファハーンの他の公園とは異なる環境が生まれています。

 

ナージュヴァーン公園

 

パランデガーン庭園は、面積およそ5万5000ヘクタールで、ザーヤンデルード川とナージュヴァーン森林公園の一角にあります。この庭園は、中東に幾つかある野鳥公園の一つで、イスファハーンの町の散策場所のひとつとなっています。この公園は、1996年に開園しました。高さ32メートルの16本の移動式の柱に支えられた大きな網が、鳥たちが逃げるのを妨げており、この網の面積は、およそ4万平方メートルです。イスファハーンの野鳥公園には、500種類を超える鳥類が存在し、イランの他、オーストラリア、タンザニア、中国、インドネシア、その他の地域から集められました。この庭園には、それぞれの鳥が生息するため、その鳥の自然環境に合わせた特別な可能性が整えられています。例えば、森林、鉄の柵、ガラス張りの空間、岩山や池といった環境が作り出されています。

 

パランデガーン庭園

 

パランデガーン庭園では、イランの庭園芸術の融合を見ることができます。この庭園には大小合わせて4つの池があり、アヒルやカモ、フラミンゴやペリカンなどの鳥が生息しています。公園の東の一角にある岩山は、砂漠や山岳地帯に住む鳥たちにとって、適した環境となっています。そこでは、シャコやウズラや見られます。

 

 

イスファハーンは独特の気候を有しているため、空気清浄機や冷暖房などの設備の整ったガラスの空間が、鳥たちの生息条件に適した環境を整えています。ガラスの空間で生息するのは、オウムやインコです。また、ワシやフクロウ、ハヤブサなどの猛禽類のためには、栄養の種類を理由に、特別な鉄の柵が作られています。なぜなら、これらの鳥を自由に放し飼いにすれば、他の鳥やひなが危険にさらされてしまうからです。とはいえ鉄の柵の中では、猛禽類の生息に適した自然環境が作り出されています。

パランデガーン庭園

 

森に生きる鳥たちの生息環境の一つが、森林です。こうした空間で見られるのは、クジャクやコウライキジです。良質な土壌、十分な湿度、適した気候が、野鳥公園に、様々な植物や樹木が育つ条件を整えています。そのため、この場所では、クルミや杉、スズカケ、ヤナギその他、様々な種類の木が見られます。

パランデガーン庭園

 

野鳥公園の興味深い場所の一つは、野鳥の島です。この島は、ザーヤンデルードに浮かぶ最大の島で、非常に美しい空間を作り出しています。この島は、木製の橋で野鳥公園とつながっています。この公園にはまた、鳩の塔の形をした建物があります。この鳩の塔は、イスファハーンの町の周囲にある平原に昔から存在し、鳥たちを保護し、農耕地に使用する肥料を集めるための場所となっていました。