10月 03, 2018 17:30 Asia/Tokyo

コーラン 第29章 アンキャブート章 蜘蛛 第27節~第30節

慈悲深く、慈愛あまねき、アッラーの御名において

第27節

「イスハークとヤアクーブを彼に与え、その子孫たちの間に預言者と啓典を据え、現世で彼の報奨を彼に与えた。間違いなく、彼は来世で善良な人の一人である」(29:27)

وَوَهَبْنَا لَهُ إِسْحَاقَ وَيَعْقُوبَ وَجَعَلْنَا فِي ذُرِّيَّتِهِ النُّبُوَّةَ وَالْكِتَابَ وَآتَيْنَاهُ أَجْرَهُ فِي الدُّنْيَا وَإِنَّهُ فِي الْآخِرَةِ لَمِنَ الصَّالِحِينَ(27)

 

前の節では、神の預言者イブラヒームの運命について述べていました。この節は、そうした節の結末として、次のように語っています。「イブラヒームが自分の土地を離れて移住し、他者を真理の道にいざなおうとした後、神は彼に大きな恩恵を与えた。それは、彼の道を続け、神の恩恵によって預言者となり、民の間で信仰の道しるべとなるような清らかな家族と子孫である」

イスハークとその息子のヤアクーブ、ヤアクーブの息子のユーソフ、そしてムーサー、ハールーン、ソレイマーン。彼らは皆、イブラヒームの子孫であり、神の預言者としての使命を授かりました。このような恩恵は、現世のものでもあり、また来世のものでもあります。また名誉と神の報奨を伴うものです。なぜなら、清らかな子孫は、父親にとって、生きている間は誇りの源であり、死後は名声の源となるからです。

 

第27節の教え

●          善良な子どもは神の恩恵であり、神は清らかでふさわしい人物にそれを与えます。

●          神の現世での報奨のひとつは、清らかで善良な家族を持つことです。

●          逸脱した見方に反し、現世と来世は共に組み合わせることができます。イスラムでは、来世を現世の犠牲にすることも、来世に到達するために現世を捨てることも認められていません。

 

 

第28節 

「また、ルートが民に向かって言ったときのこと[を想い起こしなさい。]『あなた方は醜い行いをしている。あなた方以前に世界でそのようなことをした人々は存在しなかった。」(29:28)

وَلُوطاً إِذْ قَالَ لِقَوْمِهِ إِنَّكُمْ لَتَأْتُونَ الْفَاحِشَةَ مَا سَبَقَكُم بِهَا مِنْ أَحَدٍ مِّنَ الْعَالَمِينَ(28)

 

第29節 

「あなた方は男性たちと交わりあい、[種の存続の]道を断っている。また公共の場で互いに醜いことをしている』 だが彼の民は、こう答えるだけだった。『もしあなたが本当のことを言っているのなら、神の責め苦を私たちにもたらすがよい』」(29:29)

أَئِنَّكُمْ لَتَأْتُونَ الرِّجَالَ وَتَقْطَعُونَ السَّبِيلَ وَتَأْتُونَ فِي نَادِيكُمُ الْمُنكَرَ فَمَا كَانَ جَوَابَ قَوْمِهِ إِلَّا أَن قَالُوا ائْتِنَا بِعَذَابِ اللَّهِ إِن كُنتَ مِنَ الصَّادِقِينَ(29)

 

預言者イブラヒームの後、この2つの節は、神の預言者ルートの運命について述べています。ルートもイブラヒームと同じ時代に民の間に、イブラヒームの宗教を広めていました。しかし、人々は、ルートの導きを受け入れなかっただけでなく、自分たちの醜い行いを彼に非難されてしまったために、彼を追放し、殺害すると脅迫しました。

 

この2つの節は、動物の間にも見られないような、人々にとって最も醜い行いのひとつに触れ、次のように語っています。「神の預言者ルートは、常に人々に、男性同士の交わりあいは非常に醜い行いであり、女性への興味が薄れ、種の存続が断たれてしまうと人々に忠告していた。これは、互いに惹かれあうという男女の間の自然の法則に反した行いであり、本能に従う動物たちでも、そのような行いをすることはない」

 

ルートの民は、公共の場での礼儀にも欠けており、そのような行いを、他人の目から離れたところで密かに行う人々とは異なり、公共の場で堂々と行っていました。彼らはそれを楽しいことと解釈していたのです。

 

この節は続けて、次のように語っています。「彼らは預言者ルートの警告や忠告に学ばず、醜い行いを改めようとしなかっただけでなく、嘲笑しながら、預言者に言った。『あなたの神が私たちのそのような行いを不快に思い、私たちに責め苦が与えられるというのなら、それを現世で下し、私たちを消滅させればいいと言いなさい』」 言い換えれば、彼らは預言者ルートに、あなたは偽って自分が預言者だとし、私たちの行いを無闇に妨害しないでほしいと言おうとしていたのです。

 

第28節 ~第29節の教え

●          宗教の指導者たちは、人々を神へと導くだけでなく、社会的な腐敗や堕落と戦い、社会から腐敗を取り除くために努力する責務も負っています。

●          社会に腐敗が広まったとしても、“悪の否定は意味がないのに、なぜわざわざそのために努力するのか”と言うことはできません。

●          神の預言者たちは、人々に対し、正しい方法によって性的な欲求を満たすことを勧めており、性的な逸脱、放縦、同性愛を否定しています。

●          罪は、社会に広がらない限り、個人的な事柄と見なされます。しかし、公共の空間が侵された場合、社会的な問題となり、それに対処しなければなりません。

●          同性愛は、現在、一部の西側諸国で合法とされていますが、全ての啓示宗教は、それを醜い行いとみなし、預言者にそれと闘う使命を与えています。

 

第30節 

「[ルートは]言った。『主よ、私を[腐敗し、]堕落した民からお助けください』」(29:30)

قَالَ رَبِّ انصُرْنِي عَلَى الْقَوْمِ الْمُفْسِدِينَ(30)

 

その堕落した民が、預言者ルートを嘘つきと呼び、彼が預言者であることに疑問を呈したとき、ルートは神に、自分が本当に預言者であることを証明するために奇跡を示してほしいと頼みました。その奇跡は、彼が預言者であることを証明すると共に、過ちを犯した人々を懲らしめ、偽りに対する真理の勝利となるものです。罪を犯すことを誇り、清らかさを醜い行いと考える人は、堕落した人々であり、その堕落を広め、普通のことであるように見せています。このような人々は、本来の道から逸脱しており、清らかな人々から忠告を与えられても、彼らを嘲笑するのです。

  

第30節の教え

●          イスラムでは、同性愛は地上における堕落の拡散するものと見なされています。堂々とそのような罪を犯す人々は、極刑に値するとされています。

●          社会における堕落の拡大に対し、私たちは断固とした態度で立ち向かうと共に、神にそうした人々への対処を求める必要があります。

  

 

 

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