ペルシャ語ことわざ散歩(35)「すり鉢の蓋は開いている、猫の恥じらいはどこに行ったか?」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「すり鉢の蓋は開いている、猫の恥じらいはどこに行ったか?」です。
ペルシャ語での読み方は、Dar-e dizi baaze, hayaa-ye gorbe kojaa rafte?となります。
このことわざは、イラン式の肉じゃがを出来たての熱いうちに、日本でいうすり鉢のような金属製の重い器に入れて、やはり金属製の擂り粉木でつぶして食べることに由来します。
すり鉢に蓋をしておかないと、ちょっと目を離した隙に飼い猫などに肉を食べられてしまうため、特に昔はこのすり鉢の蓋を被せておかなかったがために猫に肉を持っていかれてしまったような場合、調理した人が責任を問われ、肉じゃがのメインである肉を食べられない、という習慣があったそうです。
しかし、このことに由来して、このことわざは仮に食物の入った蓋が開いていても、良心や恥じらいがあれば、誰も見ていない隙を狙って中の食物をとったりしないこと、すなわち、何か悪いことや違反行為の出来る状態にあったとしてもそれをしないこと、あるいは隙を狙って悪いことに手を出す人の例えに使われています。
少しの油断から、悪いことに手を出したり、安きに流れるというのは、世界中どこでも見られるようですが、私たちは良識ある人間として、常に自らを律し、自制することを忘れないようにしたいものですね。それではまた。
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