1日1冊、本の紹介(34)
イスラムとその指導者たちの教えにおいて、祈祷は信心深い人の生活に恒常的に存在している一連の行動であるとされています。
祈祷することは、神を求め一神教を信じる人間が、どのような場合においても神の御前で祈りをささげ、神と語り合うことができる手段です。イスラムの先駆者や偉人たちの行状を振り返ると、神を礼賛し、神と語り合うこそ、彼らの人生計画の主要な要素であったことがわかります。日々の祈祷や礼拝、そして特別な月や折に行う祈祷は、私たちが精神性を身につけ、神により近づく上での助けとなる方法の1つです。また、一方で、美徳や精神の健康をも、私たちにもたらしてくれるものです。
イラン北東部ホラサーン・ラザヴィー州の文書資料センターの協力により、イランの芸術創作研究所は、1週間のそれぞれの日々における祈祷に関する独自の祈祷集を出版しました。これらの祈祷は、シーア派4代目イマーム・サッジャードによるものであり、イランの書道の大家モハンマド・シャフィー・タブリーズィーによりナスフ体で筆録されています。シャフィー・タブリーズィーは、19世紀の書道家で、数多くの書道作品を残しており、彼の作品の写本は、ホラサーン・ラザヴィー州の聖地マシュハドにある、シーア派8代目イマーム・レザー聖廟の附属図書館に収蔵されています。
イマーム・サッジャードは、シーア派3代目イマーム・ホサインの息子であり、このイマームの祈祷はサッジャーディーエという貴重な祈祷文集に集められています。この著作は祈祷や神の礼賛に関する内容ではあるものの、イスラムや神秘主義哲学、そのほかの学術分野における真理の多くや、教育、倫理的な問題が含まれており、そうした内容に祈祷という形式で言及しています。それらの祈祷のうちの1つには、次のように述べられています。
「おお、神よ、自らの寛大さによって、我々がほかの寛大な人を必要としないようにしてください。そなたとのつながりにより、孤独による恐怖感からわれらを遠ざけ、そなたの恵みにより、われらがそなた以外の誰かにまなざしを向けたり、そなたの寛容さという助けにより、何者をも恐れることのないようにしてくださるように」
「週日の祈祷」という著作は、書道家シャフィー・タブリーズィーによる美しい書体により、また美しい配色により装丁されており、イラン北東部の聖地マシュハドにあるホラサーン・ラザヴィー州出版社により出版されています。