抵抗勢力の武装解除という大ゲームに米とイスラエルが果たす役割とは?
-
レバノンの抵抗組織ヒズボッラーの武装解除という一大ゲームに米とイスラエルが役割を果たす役割とは?
アメリカとシオニスト政権イスラエルが、偉大な抵抗軍司令官の殉教を受けて前例のない圧力行使により、レバノンのイスラム抵抗組織ヒズボッラーの武装解除というシナリオに着手しました。これはレバノンの国家主権だけでなく、地域全体の安定をも危険にさらすシナリオとされています。
ヒズボッラーの元事務局長だった故セイイェド・ハサン・ナスロッラー師の殉教および、最近の地域情勢を受けて、シオニスト政権は抵抗運動に最後の一撃を与える絶好の機会が到来したと考えています。こうした状況下で、米国や一部の西側諸国政府が前例のない圧力をかけてレバノン政府にヒズボッラーの武装解除を迫っていることは、内政的な措置ではなく、イスラエルに有利な形で地域の安全保障を巧みに構築するという壮大なシナリオの一部です。
【ParsToday西アジア】メフル通信によりますと、この計画は「政府による武器の押収」や「経済再建」といったスローガンを掲げて提示されているものの、実際にはレバノンの将来と抵抗運動全体にとって深刻な脅威となり得ると報じられています。
ヒズボッラーの武装解除問題は、親欧米派の国内運動によって数年ごとに提起されてきた問題ですが、今日では外部からの強大な圧力と国内運動への挑発によって、危機的な状況に陥っています。米国政府は、トーマス・バラク特使をレバノン首都ベイルートに派遣することで、事実上、レバノン政府に政治・安全保障上の条件を強制していると言えます。
米とイスラエルの利益に合致するプロジェクト
ヒズボッラーの武装解除計画は、表向きには「国家主権」と「武器押収」というスローガンを掲げて提起されていますが、実際にはイスラエル占領政権の完全な安全保障確保を目的とした米国の戦略の実施に過ぎません。レバノン軍への装備と予算の主要な供給国であるアメリカは、ヒズボッラーの排除によりレバノンの防衛政策を完全に掌握できることを熟知しています。このようなプロセスの結果は、レバノンという国を「アメリカとイスラエルの政策に少しでも抗議することを許さない傀儡国家と軍隊」へと変貌させることに他ならないと思われます。
レバノン防衛におけるヒズボッラーの位置づけと役割
ヒズボッラーはイスラエルの侵略だけでなく、テロ組織ISISをはじめとする国内および地域的な脅威への対処においても決定的な役割を果たしてきました。この組織は、数千人の殉教者を出した上に、莫大な人的・物的犠牲を払うことで、シーア派だけでなくレバノン全体の尊厳と名誉を守ってきました。多くの場合、レバノン政府と軍は侵略を傍観するのみでしたが、敵の進撃を阻止し、安全保障上の均衡を変えたのは抵抗勢力でした。
武装解除による危険な結果
ヒズボッラーの武装解除は、抵抗軸の主要な支柱の一つを解体することを意味します。この行動は、レバノンのシーア派にとってだけでなく、地域全体にとっても危険です。それは、シオニスト政権がこの軸の他の支柱を徐々に弱体化させ、排除しようとするからです。これまでの経験からは、イスラエルとアメリカの圧力に直面して撤退しても、脅威は軽減されず、むしろ増大するだけであることが分かっています。
内戦を伴わない抵抗軍の戦略
イラン国家安全保障最高評議会のアリー・ラーリージャーニ書記のベイルート訪問は、時宜を得た戦略的な行動であり、抵抗軸の敵対勢力に明確なメッセージを送るものです。イランはヒズボッラーとレバノンの安定を引き続き支持しています。ヒズボッラーは、いかなる内戦もイスラエルの主要な望みであり、レバノンの国家統一を破壊しかねないことを十分に認識しています。
ヒズボッラーの武装解除という決定は、単にレバノン国内の問題ではありません。これは、地域の安全保障を自国に有利に再構築するという、米・イスラエル間のより大規模な計画の一環です。もしこの計画が実行されれば、レバノンはイスラエルの侵略に対する唯一の抑止力を失い、敵による完全な支配への道を開くことになると思われます。