ロシアが安保理の対イラン制裁復活を国連憲章違反と見なす理由とは?
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ロシアが「対イラン制裁復活の主張は根拠がなく、国連事務局の行動は国連憲章に反する」と表明しました。
(last modified 2025-10-13T06:30:27+00:00 )
10月 01, 2025 17:54 Asia/Tokyo
  • ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使
    ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使

ロシアが「対イラン制裁復活の主張は根拠がなく、国連事務局の行動は国連憲章に反する」と表明しました。

【ParsToday国際】ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、国連事務総長と国連安保理議長に宛てた詳細な書簡において、一部の西側諸国と国連事務局による、安保理が過去に行使していた対イラン制裁の「復活」とされる最近の行動を強く批判し、「一切の法的正当性に欠け、国連憲章と安保理の強制力ある決定に反する」と語っています。

また、「国連事務局が決議1696、1737、1747、1803、1835、1929を『再適用する』と主張する声明は根拠がないだけでなく、安保理の決定を歪曲し、安保理決議2231に明確に違反する」と述べました。さらに、これら西側3カ国と一部の安保理非常任理事国は、イランの核問題に関する交渉の余地を拡大する努力に事実上抵抗し、対立とエスカレーションの道を選んだ」としています。

さらに、欧州3カ国・英独仏が去る8月28日に「スナップバック(核合意に定められた、対イラン制裁の再発動を可能にする仕組み)」を発動したという主張について、これを全く無効とみなし、「英国、フランス、ドイツは、安保理決議2231の不可欠な要素であるJCPOA対イラン核合意に含まれる紛争解決プロセスの要件を遵守していないだけでなく、度重なる違反により、このメカニズムを発動する権限を実質的に失っている。したがって、スナップバック・プロセス開始の通告は一切法的な価値がなく、決議2231運用規定第11項に基づく有効な通知とはみなされない」と語りました。そして、ロシア、中国、イランの外相が去る8月28日付の共同書簡で国連事務総長と安保理にこの立場を正式に表明したことも引き合いに出しています。

ネベンジャ大使は加えて「2025年9月19日に採択された決議案は、決議2231の要件を明らかに満たしておらず、その検討結果は決して、過去の制裁の復活とはみなされない。したがって、いわゆる『スナップバック』と呼ばれるプロセス全体は実質的に無効であり、それ以外のことを示唆するいかなる試みも、西側3カ国による明白な違反行為の正当化を狙った一方的な政治的工作に過ぎないと結論付けられる」と強調しました。

そして「国連事務局の行動は国連憲章第100条、および国連に求められる公平性に反する」として深い遺憾の意を表明し、「このようなプロセスを継続すれば安保理の権威が著しく損なわれる可能性がある」と警告しました。

続けて「1737委員会(対イラン制裁委員会)とその関連活動の再開には法的根拠がなく、委員会の専門家の指名や委員長の任命を含め、いかなる措置も講じるべきではない」としています。

また国連事務局に対し、「最近の声明を直ちに撤回し、制裁対象リストの復活を取り消し、1737委員会に関連するウェブサイトを閉鎖し、一部の西側諸国の利益を優先する一切の行動も控えるよう求める」と表明しました。

ロシアは、いわゆる欧州トロイカ(英国、フランス、ドイツ)による対イラン国連制裁の再発動を国際法違反として強く非難しています。ロシアがこの立場をとる主な理由は、以下の4つの点に要約されます;

1. JCPOA包括的共同行動計画(通称;対イラン核合意)および安保理決議2231への違反

ロシアは、欧州諸国と米国がJCPOAおよび国連安保理決議2231に基づく義務に違反しており、国際法の観点から、対イラン制裁の再発動といった手段に訴えることはできないと考えている。これらの国々は、国際決議の枠組みまたは多国間合意に基づいて行動すべきである。

2. 違法なスナップバック発動

ロシアは、スナップバックは特定の状況下、特にイラン自身がJCPOAに最初に違反した場合のみ発動されると強調する。しかしロシアから見て、イランはこれらの点において責務に違反しておらず、したがって欧州には制裁復活を目的にスナップバックを発動する権利はないと考えられる。

3. 一方的な制裁への反対

ロシアは、一部の国が単独で(特に国際的なメカニズムや安保理の枠外で)行使する制裁は違法であると主張する。これらの国は、国際決議や多国間協定の枠組みの中で行動すべきである。

4. 国際法の原則に対する違反

ロシアの見解によれば、自ら受諾した義務を履行しなかった、あるいは無視した国は、制裁措置や国際法上のメカニズムの発動といった手段を合法的に行使することはできない。この原則は国際法で認められている。

結論

これらの理由に基づき、ロシアは、欧州トロイカ・英独仏によるスナップバック発動が違法であるだけでなく、地域・世界の安定に対する脅威でもあると見なしています。一方、欧州諸国と米国は「イランは核に関する約束を履行しておらず、制裁の再発動は安全保障理事会決議2231に従ったものである」と主張しています。しかし、この見解の対立は、国際舞台において重大な法的・外交的課題を生み出しており、実際に安保理内では、常任理事国間で明確な二極化が生じています。この点において、ロシアと中国はスナップバック反対派として、米国、フランス、英国といった西側諸国の支持者と対立しているのです。

 

 


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