ガザ戦争が米国と世界の世論におけるイスラエルの立場に及ぼした弊害とは?
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パレスチナ人を支持し、イスラエルの犯罪を非難するデモを行うアメリカ人の若者ら
ガザ戦争とパレスチナ人虐殺は、アメリカと世界の世論におけるシオニスト政権イスラエルの立場に深刻な打撃を与えました。
【ParsToday国際】米ニューヨーク・タイムズ紙は記事の中で「ガザでの戦争は、人的損失と広範囲にわたる破壊に加え、イスラエルの国際的イメージ、特にアメリカ国民との関係に深刻な打撃を与えた」と報じています。同紙はまた、ガザでの大量虐殺後、特にアメリカにおいてイスラエルが国際世論における地位の再構築の可能性に疑問を呈し、この問題がイスラエルにとって大きな試練となるとの見方を示しました。
イスラエルに対するアメリカ国民の連帯感は、ここ数十年で最低水準にあると思われます。2年間続いたガザ紛争が終結に近づく中、新たな世論調査によれば、イスラエルに対するアメリカ国民の世論はますます悪化し、シオニスト政権はアメリカ国民の大部分から支持を失っています。アメリカの有権者の過半数がイスラエルではなくパレスチナ人に同情を表明したのは、1998年以来の世論調査史上初めてのことです。
さらに、イスラエルを常に強く支持してきたアメリカのユダヤ人コミュニティの間でも、ネタニヤフ・イスラエル政権への批判が高まっています。米紙ワシントン・ポストの最近の世論調査によりますと、アメリカのユダヤ人の大多数は、イスラエルがガザ紛争で戦争犯罪を引き起こしたと信じており、在米ユダヤ人の10人中4人はイスラエルがジェノサイドを犯したと考えています。シオニスト系シンクタンクも、ガザにおける継続的な犯罪がイスラエルの安全保障、ひいては西洋文明の基盤を揺るがしていることを認めています。かつて共通の価値観の上に築かれていた米国とイスラエルの戦略的同盟は、今や深刻な課題に直面しています。
この変化は、西アジアにおける米国の将来の政策に影響を与える可能性があります。こうした姿勢の変化は、米議会における進歩的な野党民主党議員が、米国の対イスラエル軍事援助を制限しようとする動きにまで発展しました。一方で、与党共和党は常に自らを親イスラエルと称し、民主党に反イスラエルのレッテルを貼ろうとしてきましたが、アメリカにおける世代交代により、多くの若い福音派キリスト教徒は自らの親世代とは異なり、イスラエルを抑圧的な勢力と見なすようになってきています。
こうした中、米国では台頭する親パレスチナ活動家が逮捕、法的措置、脅迫の増加に直面しています。しかし、これを口実にドナルド・トランプ現米政権は過去に例がない規模で表現の自由を攻撃し始め、多くの人々からみて独裁主義への凋落とされる方向へアメリカを向かわせています。
アメリカや世界の世論におけるイスラエルの地位が急激に低下している状況において、以下の点に注目する必要があります;
米国における国民の支持率低下
- 最近の世論調査によれば、米国民の対イスラエル感情は数十年ぶりの最低水準に落ち込んでいる。ガザでの虐殺は、多くの米国人、特に若者や少数派層に、イスラエルの政策を非人道的で人種差別的だと認識させることになった。米紙ニューヨーク・タイムズなどの主要メディアもこの変化を取り上げ、これをイスラエルの印象にとって大きな試練だとしている。
欧州世論においてイスラエルの立場が急激に低下
- ガザにおけるイスラエルの軍事行動、特に子どもや民間人に対する行動は、欧州世論におけるイスラエル政権の倫理的正当性を揺るがしている。これまで欧州におけるイスラエルの伝統的な同盟国だった国でさえ、イスラエルを地政学的状況における「戦略的な荷物」と見なしている。欧州諸国の世論はイスラエルからますます距離を置いており、この傾向により欧州におけるイスラエルの外交的・倫理的合法性が低下している。イスラエルに対する欧州諸国政府の姿勢の変化は、地政学的動向だけでなく、これらの諸国における世論の圧力への対応でもある。特に大学やSNS上においてヨーロッパの若年世代は、イスラエルの政策をより批判的に捉えている。
- ガザ地区における民間人殺戮及び、ガザ支援国際船団グローバル・スムードへの攻撃により、ヨーロッパにおける市民の憎悪と世代間の分断が増大した。これまでとは異なり、ヨーロッパのメディアはイスラエルの行動をより批判的に報道しており、SNSはガザ紛争の映像や人々の証言を発信することで、世論をパレスチナ人に対する共感へと導いている。
イスラエルに対する世界の見方が変化
- 昨今は世界各地で、パレスチナを支持する大規模なデモが実施されてきた。多くの政府は世論の圧力を受け、イスラエルとの外交関係の見直しを迫られている。アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの国際人権団体は、イスラエルの行動を戦争犯罪およびジェノサイドとみなしている。
メディアとSNSの役割
- ガザ紛争の犠牲者の悲惨な映像や動画がSNS上で公開されたことは、世界中の人々の感情を揺さぶり、パレスチナ人への共感の波を巻き起こした。西側諸国の公式メディアとは異なり、独立系メディアや市民ジャーナリストは、戦争についてより人道に即した現実的な報道を行ってきた。こうしたメディアの変化により、イスラエルの視点による戦争報道は受け入れられにくくなっている。
結論
欧州の世論におけるイスラエルの地位低下は、単なるメディアや市民感情の変化ではなく、国際関係における戦略的な変化だといえます。この変化は、イスラエルと西側諸国との関係の将来に深刻な影響を及ぼす可能性があります。実際、ガザ紛争とパレスチナ人虐殺は、深刻な人道危機を引き起こしたのみならず、国際世論におけるイスラエルの地位を著しく弱めることとなりました。この変化は、国際関係、地域政治、そしてシオニスト政権の将来に長期的な影響を及ぼすことも考えられるのです。