仏;「まだ対イラン交渉の時間あり」/政治専門家;「スナップバックの主な敗者は欧州」
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フランスのジャン=ノエル・バロ外相
フランスのバロ外相が、「対イラン国連制裁の復活は同国との外交継続を妨げるものではない」と主張しました。
米国と欧州トロイカ(フランス、英国、ドイツ)は最近、イランに対するトリガーメカニズム(いわゆるスナップバック、核合意内に定められた対イラン制裁を発動できる仕組み)を違法に発動しました。トリガーメカニズムの発動により、欧州は国連安全保障理事会による対イラン制裁が再発動されると主張しています。
【Pars Todayイラン国際】フランス通信によりますと、フランスのジャン=ノエル・バロ外相はイランとの交渉に意欲を示し、「交渉による解決に向けて全力を尽くす」と語りました。
フランス外相がこのように主張している中、西側諸国はイランとの外交・協議を望んでいると主張しながらも、イランの外交提案を拒否しています。
この点に関して、多くの政治専門家は「地政学的な近隣国であるヨーロッパとイランは、不安定な世界情勢の中で共存せざるを得ない」との見方を示しています。イランの政治専門家、アリー・レズヴァーンプール氏は、ヨーロッパがイランとの交渉を模索するなら、以下の点を考慮すべきだと述べています;
アメリカからの政策分離:
欧州が信頼を取り戻すには、たとえその政策がアメリカと複数の点で対立しても、自らの利益に基づく独立した対イラン政策を策定できることを示す必要がある
具体的な奨励策の提起:
新たな交渉を開始する場合、欧州は合意に留まることをイランに促すような、魅力的な経済・政治的案(石油購入保証、インフラ投資、技術協力など)を提示できる必要がある
段階的な外交:
「暫定合意」の提案や、より小規模な枠組み(例えば、限定的な制裁緩和と引き換えに特定の核活動を停止するなど)の交渉により、失われた信頼空間を再構築できる可能性がある
この点に関して、イラン国会・国家安全保障委員会のベフナーム・サイーディ書記は「最近、トリガー(引き金)メカニズムを発動させたという欧州諸国の行動は違法であり、国際法規に反する行為である」と述べた上で、「イランはすべての責務を履行したが、欧州諸国は米国の直接的な挑発による外交の道を拒否した」と語りました。
またイランの国際問題専門家、ハミードレザー・タラッギー氏も「この引き金メカニズムの最大の敗者は欧州だ」との見解を示すとともに「イランと欧州の経済交流は限定的であり、今回の措置によるイラン経済への影響はごくわずかだ」と見ています。
タラッギー氏によれば、イランの経済需要の大部分はアジア諸国から賄われており、ウクライナからの穀物や原材料の輸入はごく一部であって、しかもウクライナ危機の影響で制限されているため、スナップバック・メカニズムを発動してもイランに大きな損害は及ばないと見られ、逆にヨーロッパに悪影響を及ぼし、欧州諸国内および経済に深刻な圧力をかける可能性があるということです。またこの行動は、ある意味でアジア・欧州間のより広範な競争、ひいては経済・政治戦争の温床になりかねない可能性があるとされています。
タラッギー氏はまた「この措置は経済的な影響に加え、ヨーロッパ諸国における市民の抗議活動や国内運動の拡大をまねく可能性がある。フランスはこうした抗議活動の一例であり、他のヨーロッパ諸国でも同様の抗議活動が繰り返される可能性が非常に高い。実際、EU欧州連合はかつてのような強力な連合ではなく、圏内や国際舞台で衰退のプロセスをたどり続けている」と結びました。